「ダイエットが成功したのにもかかわらず、おなか周りは痩せられない」、「長期間、便秘に悩んでいる」。
このような悩みの原因は「腸下垂」かもしれません。腸下垂とは一体何なのでしょうか。
今回は腸下垂の原因や治し方などを見ていきましょう。
目次
そもそも「腸下垂」って何?
「胃下垂」は知っているけれど、「腸下垂」という言葉は初めて聞いた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
「腸下垂」はその名の通り腸が下がった状態を意味します。
腸下垂とは何なのかご説明いたします。
腸下垂とは
腸は食べ物を分解し、栄養を吸収する小腸と食べ物から水分を吸収し、便を作り出す大腸で構成されています。
小腸は内臓の中で最も長く、約6メートル。ぐるぐるの状態でおなかにあり、小腸の周りを大腸が囲っています。
大腸を構成するのは小腸側から順に盲腸、結腸、直腸であり、直腸は肛門につながっています。
骨盤の上に小腸の周りを四角い枠で取り囲むように大腸があるのが正常な腸。しかしながら、何らかの影響で大腸の位置が下がると腸下垂になります。
日本人は腸下垂になりやすい
日本人は欧米人に比べて腸下垂になりやすいと考えられています。
これは日本人の大腸が欧米人よりも長いことが多いためで、腸がゆがんだり、ねじれたりしやすく、生まれつき腸下垂の人も少なくありません。
腸下垂チェック
便秘やぽっこりおなかが気になる人は腸下垂の症状を確認してみましょう。
・長期間便秘に悩んでいる
・便秘薬が効きにくい
・ダイエットをしてもおなか周りがぽっこりしている
・食事直後におなか周りが膨らむ
・おなかが張りやすい
腸下垂の人はこれらの症状が当てはまります。数項目に当てはまった人は腸下垂を治して症状の改善を試みましょう。
腸下垂の原因と及ぼす悪影響
次に腸下垂の原因や悪影響をご説明いたします。
腸下垂の原因
腸が長く、生まれつき腸下垂の人も少なくありませんが、筋力の低下や骨盤の歪みが原因で腸が下がっている人もいます。
2つの原因を詳しく確認してみましょう。
筋力の低下
正常時、腸をはじめとする内臓は筋肉によって支えられ、正常な位置に保たれています。
ところが、運動不足や加齢で筋肉量が低下すると内臓を支えきれずに重力に負けた内臓が徐々に下がっていきます。
腸を正常な位置に支えている筋肉は腹筋や背筋。これらの筋肉が弱ると腸の上部にある横行結腸や直腸の上にあるS字結腸が垂れ下がってしまいます。
また、体全体の筋力が低下している場合は他の臓器も下がり、腸に重みがかかって腸下垂を起こしたりすることも多いです。
一例を挙げると、頻繁に耳にする「胃下垂」の場合、胃が下がることで腸を圧迫し、腸が下垂して炎症を起こします。
骨盤の歪み
骨盤の歪みも腸下垂に悪影響を与えます。
正常時、骨盤は腸を支えるクッションのような役割を果たしますが、骨盤がゆがんだり、広がったりしていると腸を支えられません。
頻繁にハイヒールを履く人や足を組む癖がある人などは骨盤に歪みが生じる可能性が高いため、姿勢の改善をおすすめいたします。
腸下垂が及ぼす悪影響
私たちにとって腸が下がっている状態は望ましくはありません。腸下垂は次のような悪影響を引き起こします。
便秘
腸下垂の影響を受け、おなかの下で圧迫された腸はねじれたり、折り重なったりします。これによって便を作る大腸が正常に働かないことがあります。
また、ねじれたり折り重なったりしている部分には便がたまりやすく、ひどい便秘に悩まされている人も多いです。
さらに、腸下垂の人は腸の隅々まで薬が行き渡りにくいため、便秘薬を服用しても症状が緩和されないこともあります。
代謝の低下
腸下垂の影響で大腸の機能が落ちれば、大腸で消費されるエネルギー量が低下します。内臓の働きによって消費されるエネルギーを基礎代謝といいますが、これが低下すると痩せにくい体質になってしまうのです。
また基礎代謝の低下は冷えや血行不良による疲労にもつながると考えられており、冷え性やむくみにも悪影響を及ぼします。
ぽっこりおなか
腸下垂になると便秘になり、おなか周りがぽっこりと膨らみます。この膨らみは脂肪ではないため、ダイエットをしても解消できません。
また、腸が下がると下腹部が盛り上がり、食事直後におなか周りがぽっこりと膨らむこともあります。
腸下垂を改善するトレーニング
筋力不足や骨盤の歪みが原因で腸が下がっている人はコツコツとトレーニングを続けることで腸を元の位置に戻せます。
腸下垂の改善に有効なトレーニング方法を2つご紹介いたします。
簡単!腸下垂改善トレーニングのやり方
1.仰向けに寝転びます。
2.足を肩幅程度に開きます。
3.膝を立てます。
4.手を胸の位置で交差させます。
5.息を吐きながら腰を左に曲げます。
6.息を吸いながら元に戻ります。
7.右も同様に行います。
8.5〜7をさらに2回繰り返します。
寝る前などにリラックスして行うと良いでしょう。
骨盤の歪みに効果的なトレーニングのやり方
1.背筋を伸ばして座ります。
2.両足を腰幅より外側に開き、膝を立てます。
3.胸の前で手をクロスさせ、反対側の肘をつかみます。
4.息を吐きながら両足を右側に倒し、肘を左側にひねります。
5.5秒間維持します。
6.息を吸いながら3の姿勢に戻ります。
7.反対側も同様に行います。
8.3セット繰り返します。
骨盤の歪みによる腸下垂に悩んでいる人はこちらのトレーニングを試してみましょう。
日常生活を改善して腸下垂を治そう
生活習慣の悪化は腸下垂に大きく関係します。
運動不足や姿勢の悪化が気になる人はウォーキングをしたり、足を組む頻度を減らしたりと日常生活でできる工夫をして腸を元の位置に戻しましょう。
腸下垂を改善すると便秘が治ったり、おなか周りがすっきりとしたりとうれしいことも多いですよ。