突然目が腫れて、痛みやかゆみを感じる“ものもらい”ができた経験はありませんか?腫れが酷い場合にはメイクもできない状態になってしまうことも。適切なケアを続けていけば自然と治まっていきますが、気になるのはなぜできてしまうのかということでしょう。
実はものもらいになってしまう原因菌は、私たちのとっても身近な場所に存在しています。そのため誰でも一度は経験することのある感染症だといえるのです。
今回は原因菌や症状などについて詳しくご紹介するとともに、自宅でどのようなセルフケアを行うことが大切なのか解説していきたいと思います。
目次
「ものもらい」とは?
関東ではものもらいと呼びますが、関西ではめばちこといいます。どちらも症状や原因は同じで、赤みやかゆみ、違和感や腫れが生じてくるものです。
また、見えるところに小さなイボができることもあります。まぶたの奥なら見えることはないのですが、目の淵にできてしまった場合は目視で確認できます。
ものもらいの2つの種類
実はものもらいには種類が2つ存在します。
1.麦粒腫
まぶたの外か内、どちらかにできるかによって麦粒腫はさらに2つに分類されます。基本的にはこちらの種類によるものもらいになる方が多いです。
2.霰粒腫
麦粒腫とは原因が異なるものもらいで、症状が強いのが特徴です。
ものもらいの原因と症状
ではなぜものもらいはできてしまうのか、原因と症状をみていきましょう。
麦粒腫の場合
一般的なものもらいに当てはまるもので、私たちがもつ身近な菌が原因となっています。
原因
・のど、鼻等の粘膜
・皮ふ、指、手
・髪の毛
・腸管
これらの中に存在する常在菌である“黄色ブドウ球菌”がものもらいを引き起こしてしまうことがあるのです。
まぶたにケガをしたり、風邪などの感染症にかかった際、免疫力が低下してしまうことでかかりやすくなることも。ただ、自らの行為がものもらいを作り出していることもあります。
1.まぶたを擦ってしまう人
2.アイメイクが濃い人
3.前髪が長く目にかかっているような髪型の人
4.カラコンなどのコンタクトレンズをきちんと手入れしていない人
5.目の周りや肌を清潔にしていない人
どれか一つでも当てはまるものがあれば、ものもらいができる危険性は十分にあると思っていてください。
症状
・瞬きする際にゴロゴロとして異物感がある
・腫れや赤みを生じる
・目やにがいつもより多く出る
・光に弱くなる
・充血する
こういった症状が出ているにもかかわらず、適切な処置を行わないまま放置していると症状は悪化することになります。時にはリンパの腫れや頭痛をともなうこともあるため、腫れが酷くないからと安易に放置するのはよくありません。
霰粒腫の場合
原因
・皮脂分泌腺のつまり
こちらの種類は原因がシンプルですが、悪化すると症状が重くなるのが特徴です。
症状
・まぶたを触ると分かる程度の硬いしこりが発生する
・白っぽいニキビのような出来物がある
・目の中に違和感があり、ゴロゴロしたり充血をともなう
痛みや腫れがほとんどみられないこともありますが、分泌腺が詰まってしまうことで細菌に感染しやすくなり、炎症を起こす場合もあります。そうなると酷い腫れや強い痛み、充血などの症状があらわれてきます。
皮脂分泌腺について
私たちのまぶたのふちには皮脂腺があり、上下で約60ほどあるとされています。目の乾燥を防ぐため油分の分泌や油膜を作る働きをしてくれています。
ただ、この機能が十分に働かなくなると、目が乾燥したりものもらいを発生させてしまうことになるのです。
ものもらいのセルフケアのやり方
では万が一ものもらいになってしまったとき、どのようなケアを行うことが最善なのでしょうか。セルフケアのやり方についてご紹介していきましょう。
1.抗菌目薬をさす
2週間ほどで自然に治る場合が多いのですが、なるべく早く完治させたい方がほとんどだと思います。ケアの一つとしてもっとも取り入れていただきたいのが抗菌の目薬を使用する方法です。
ドラッグストアなどで販売されていますので、症状が軽度であれば問題なく完治させられます。菌を除去することが大切なので、用法容量をしっかり守って使用してみてください。
2.免疫力を上げる
免疫力を上げることで、菌に抵抗する力を強めることが可能です。一番気をつけていただきたいのが食事内容です。
食事から摂る栄養素は、私たちの体を作り、支え、守ってくれています。食欲がなくても一切何も口にしないなんてことはせず、おかゆや野菜スープなど、栄養が摂れるものを意識して取り入れるようにしましょう。
3.清潔にする
メイクをしたまま眠ることは肌のためにもよくありませんが、目にとっても大きな負担になります。マスカラやアイシャドウ、アイラインが眠っている間に目に悪影響をもたらす可能性があるためです。
ものもらいが生じている時は特にですが、普段から清潔を心がけるようにして下さい。
また、メイクを少し控えることも大切です。眼帯をするなどして、メイクをしなくても人に見られないようにするなど、目の皮ふを休ませてあげる工夫も必要でしょう。
4.疲労回復に努める
心理的なもの以外にも、人は常にストレスにさらされています。急に寒くなったり、暑くなったり、体が感じるストレスにも注意しなくてはならないのです。
ストレスを感じるようなことがあれば、発散に努め、体を気遣う工夫をしていくこともおすすめです。これはものもらいにだけいえることではなく、さまざまな病気や感染症の予防法としても覚えておくと良いですね。
それでも改善しないときは?
セルフケアを行っても一向に改善がみられない時や、症状が悪化しているときは病院での診察が必要になります。
目安としては麦粒腫なら2週間、霰粒腫なら8週間が経過しても改善しない場合には、眼科での治療をおすすめします。特に霰粒腫である場合、あまりにも長い期間放置することでしこりが残ってしまう恐れがあります。
最悪手術になることも
しこりの大きさによっては、視力にまで影響を及ぼすことがあり、そうなると手術による切除が必要となってきます。注射でしこりを小さくする治療法もありますが、副作用の心配もあるため、悪化させないことが何より大事なのです。
目は生活するうえで一生大切にしなければならないところなので、安易に考えず、症状次第では早急に診察を受けるようにして下さいね。