ちょっと走っただけでも胸がドキドキする、階段を上がるとしばらく息切れが止まらない…年齢とともにそんな経験が多くなってきますよね。歳のせいだから…と思って放っていると、重篤な病気につながっている可能性も。動悸や息切れを起こす病気にはどんなものがあるか、その対処法とともにご紹介致します。
目次
動悸や息切れの原因は何?
動悸は心臓が規則的に早く強く鼓動するという状態で、いわゆる「胸がドキドキする」ということです。息切れも、運動時などに呼吸が激しく苦しさを感じる状態で、どちらも心臓が酸素を多く送り出そうとする際のサインということになります。一般的に交感神経の緊張によるものが多いとされており、心臓や肺の機能不全によってうまく循環していない可能性が考えられます。
「普段は問題ないが、階段や坂道でドキドキする」という状態は、一時的な運動量増加により、血圧が上昇し全身に酸素を取り入れるための自然な作用とされており特に問題はありません。また、肥満体型の方もその分多くの酸素を全身に送る必要があるため、心肺機能に負担がかかりやすいとも言われています。
心臓や肺には特に検査では異常が見つからないのに、安静にしている際にも動機や息切れを感じるような場合は注意が必要です。身体的な過労、精神的なストレスによって自律神経の乱れが引き起こされ、筋肉や血管が硬く緊張することによって血流が悪くなっている可能性があります。また、アルコールやカフェインの摂りすぎや、女性なら更年期障害や貧血の可能性もあります。
動悸や息切れの症状が現れる病気
主に心臓や、肺や気管支などの循環器系、甲状腺疾患、脳や精神疾患などに関連があるとされています。
心疾患では、心臓周囲の血管の通りが悪くなる狭心症や、血栓ができる心筋梗塞の前駆症状として知られています。循環器系疾患では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギーなどの気管支喘息などが考えられます。
原因が心臓にあるか、肺にあるかを考える手がかり
心臓など循環器系が原因の場合
①寝ている姿勢でも苦しい
②手足が冷えやすい
③体がむくみやすい
肺など呼吸器系が原因の場合
①座ると楽になる
②せき、たんが出る
③ゼーゼーする
以上のように動悸や息切れ以外の症状に違いが出る場合があります。自分の症状をよく観察し、循環器に問題があるのか呼吸器に問題があるのかを考え、当てはまる症状をチェックしていく必要があります。その他に自覚症状として胸の痛みや呼吸困難を伴う場合や、高血圧などの持病がある場合は、早めに医師の診断を受けることが重要です。
女性に関連する病気も
女性に多い病気として、血中の酸素が不足する貧血。貧血時にもめまいやふらつきと共に息切れが引き起こされる場合があります。また、女性ホルモンの減少によって自律神経の乱れを引き起こす更年期障害や、精神疾患の症状のひとつである過換気症候群でも息切れが起こります。
動悸や息切れが起きた時の対処法
1.楽な姿勢で安静に
外的なストレスを少しでも排除して、まずは落ち着ける場所を探して腰掛ける、寄りかかる、横になるなどしましょう。衣服がきついと感じたらボタンやベルトを外して楽な状態になります。気管支喘息などの場合、寝ている姿勢よりも座った姿勢の方が楽な場合がありますので、一概に横になった方がいいというわけではありません。
2.深呼吸
安静にできる場所で楽な姿勢になったら、意識的にゆっくりと深呼吸をするようにしましょう。ゆったりと長く息を吐くことを特に意識して行いましょう。
3.アロマ
リラックス効果のあるアロマを普段から持ち歩いて、息苦しくなったときにハンカチなどに吹きかけてゆっくり吸い込むのも効果的です。一般的なアロマでリラックス効果があるとされているのはラベンダーやゼラニウムなどですが、グレープフルーツやライムなどのシトラス系もリフレッシュ効果が高いので、好みの香りを見つけておくといいかもしれません。
激しい運動をしていないとき、例えば日常の平坦な道などでも息切れで苦しさを感じるようであれば早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
副交感神経を優位にする方法
普段から自律神経をコントロールすることを意識して、緊張とリラックスのバランスを切り替えることも重要です。心身のリラックスには副交感神経を優位にする必要があり、以下のようなものが取り入れやすくおすすめです。
1.入浴
1日の終わりに入浴でリラックスしている方は多いと思います。お湯の温度が熱すぎると逆に興奮状態になってしまうので、38度〜40度程度のぬるめのお風呂にゆっくり浸かりましょう。食後すぐや、就寝直前に入浴するのは避け、体に負担がかからないようにしましょう。好みの香りの入浴剤やアロマを利用したり、心臓に向かって手足をマッサージするとリラックス効果が倍増します。
2.睡眠
寝ている間は副交感神経が優位になります。早寝早起きによって体内時計を整えることは基本です。注意が必要なのは、就寝前のテレビやスマホの視聴です。就寝直前まで交感神経を刺激することになり、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなる可能性があります。
3.食事
消化器系を刺激することは、自律神経を整えるのに良いとされています。特に食物繊維の豊富な食べ物をゆっくり時間をかけて噛んだり、十分な水分を摂るなどするのがおすすめです。
予防法
息切れや動悸を感じにくい体になるためには、まず日頃から意識して運動不足を解消していくことが重要です。運動は自律神経の働きを整えるだけでなく、血圧も安定し、凝り固まった筋肉もほぐれ血行もよくなります。ストレス発散にもなりますしすっきりした気分で過ごすことができるでしょう。
運動と言っても、激しいスポーツや運動は心肺機能に負担がかかりやすいためおすすめできません。隣の人とおしゃべりしながらでもできる程度の有酸素運動がおすすめです。一般的にはウォーキングや軽いランニング、水中運動、自転車などが代表的です。これらを1日30分程度、週3日を目安に続けていくことで、心臓のポンプ作用が強化され全身の血行が良くなり、血管自体も強くなっていきます。そうすることで坂道や階段などの負荷にもある程度は息切れせずに対応できるようになります。
呼吸器・循環器系が強くなるだけではなく、体の深部を刺激しますので消化器系の働きがよくなり、自律神経が活性化されます。
脈拍は運動前と運動後で自分で測定するようにしましょう。手首の動脈上に指を当て、15秒に何回橈骨動脈が触れるかを計測します。それを4倍(60秒分)したのが1分間の脈拍となります。安静時は一般的に60〜100回が正常値ですので目安にしてください。
動悸や息切れは、体に無理がかかると誰にでも起こりうる症状です。歳のせいだからと決め付けず、もしかしたら重大な疾患が隠れているかもしれないという意識が必要です。毎日コツコツと運動を継続して基本的な体力をつけておくことや、普段から脈拍や血圧を測定して異常時にはすぐ受診できるよう準備をしておくことが重要です。