尿路結石というと酷い痛みを生じさせる病気で有名ですね。尿路結石の体験談では、とにかく酷い痛み、激痛で動けなかったというだけでなく、あまりの痛さに「死」という言葉が頭に浮かんだという人もいるほどです。石のような硬い物質が細い尿路を通る訳ですから、想像しただけでブルッとしてしまいますね。
今日は、尿路結石の原因とは?激痛を経験したくないなら知っておきたい予防法についてご紹介します。尿路結石は日頃の生活を気を付けることによって結石のリスクを下げることが出来る病気です。将来、激痛を経験しないためにも、予防法について学んでおきましょう。
目次
尿路結石とは?
尿路結石とは、体内で生成された石(結石)によって尿道が詰まる病気です。尿の成分であるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化、石のように固くなることによって発症します。30代から60代の男性、女性は閉経後に多く見られます。
結石が出来た部位が腎臓や尿管の場合には「上部尿路結石」、膀胱や尿道の場合には「下部尿路結石」と呼ばれており、尿路結石の9割は「上部尿路結石」が占めています。
また、尿路結石は一度経験すると、治った後も2度、3度と繰り返し発症する確率が高い病気ですので注意が必要です。
尿路結石の原因と症状
尿路結石の原因ですが、上部尿路結石の原因は食生活の欧米化をあげることができます。動物性たんぱく質や脂っこいもの、塩分や砂糖を沢山使用した味の濃い欧米的食生活は結石の発生リスクを高めます。
上部尿路結石に比べ発生率が低い下部尿路結石に関しては、更に、尿路に狭窄、奇形などの通過障害、細菌に感染したことによって起こる尿路感染症などが原因になります。
この他に、女性ホルモンの影響や、内分泌代謝異常やカルシウム代謝異常なども尿路結石の原因としてあげることができます。
尿路結石の症状は結石ができる部位により表れ方が異なるのですが、「上部尿路結石」や「下部尿路結石」に共通の症状があります。尿のにごりや血尿、そして背中やお腹の痛みや発熱です。
尿路に結石ができた場合には、人によっては失神してしまう人もいるほどの激しい痛みが発生します。逆に同じ尿路結石でも慢性の場合には尿路を結石が全て塞いでしまわず、少しずつ尿を出すことができる状態なので、激しい痛みではなく、何となく腰が重痛いという鈍痛を感じる場合が多く見受けられます。
また膀胱に近い場所で結石が発生した場合には、排尿痛や、残尿感など膀胱炎に似た症状を訴える患者さんもいます。
尿路結石の検査と治療
尿路結石の診断には尿検査や腹部レントゲン、超音波検査などが用いられます。受診する際はかかりつけの内科でも構いませんが、出来れば専門の泌尿器科を受診することをお勧めします。結石が大きい場合や症状が進んでいる場合には泌尿器科でないと対応できず、結局内科から泌尿器科を紹介され病院へ行くのが二度手間となりますし、治療してもらうまで時間がかかってしまうことがあるからです。
次に、尿路結石の治療方法です。基本的には結石が排尿時に自然に排出されるのを待つしかありません。痛みが酷いようであれば、鎮痛薬を使いながら結石が体外に出るのを待ちます。結石の排出を促す薬を使用することもあります。
ただし、結石の大きさが大きくて自然に排出されるのを待つのには無理がある場合は、外部から衝撃波を加えて結石を砕く治療(体外衝撃波結石破砕術)や、尿道より管を入れて、結石を砕く治療(経尿道的尿管砕石)を行い、結石の排出を促します。
尿路結石の予防法
最後に、尿路結石で苦しい思いをしないためには、日頃からどのようなことに気を付ければ良いのかみていきましょう。
肉類など動物性たんぱく質の過剰摂取に気を付ける
尿路結石の原因の一つが食生活の欧米化だとお話ししました。肉類など動物性たんぱく質を多く含む食品は、結石の原因となるシュウ酸や尿酸を増やしてしまうからです。
特に夕食に動物性たんぱく質を多く摂ることは、尿管結石のリスクを高めますので気を付けましょう。
たくさん水分をとる
水分摂取量を増やすと、必然と出る尿の量が増えます。尿の量が増えれば、尿が薄くなるので、結石を形作る成分が溶けやすくなります。尿路結石を予防のために食事以外で2リットル以上の水分を摂取するように心がけましょう。
しかし、とる水分には注意が必要です。飲むものは水か麦茶にしましょう。同じお茶でも玉露や紅茶はシュウ酸を多く含みますし、甘味料を多く含んだ飲み物も尿路結石の原因となりますからね。
シュウ酸を多く含む食べ物に気を付ける
シュウ酸は結石の主な原因ですから、シュウ酸を多く含む食べ物を避けたいところです。特に一度、尿路結石を経験した人は体質的に結石が出来やすいので、シュウ酸を多く含む食べ物には注意が必要です。
シュウ酸を多く含む食べ物には、ほうれん草、たけのこ、チョコレート、緑茶、紅茶、コーヒー、コーラなどがあります。
プリン体を多く含む食べ物に気を付ける
プリン体には尿酸値を上げる働きがあり、結石発生のリスクを高めます。健康診断の尿検査などで尿酸値が高めの人はプリン体を多く含む食べ物に気を付けましょう。
プリン体を多く含む食べ物は、たらこなどの魚卵や、レバーなどがあります。
尿酸値が高いと痛風のリスクも高まりますので、プリン体に気を付けることは痛風予防にも役立ちますよ。
塩分の摂りすぎに気を付ける
塩分を摂りすぎると尿の中のナトリウムが増加し、カルシウムの排出が促され結石のリスクを高めます。日頃から薄めの味付けを心がけましょう。
カルシウムを積極的に摂る
カルシウムには体内でシュウ酸と結合し、体外に排出してくれる働きがあります。尿路結石の予防のためには積極的に摂っていきたい栄養素となります。
カルシウムを多く含む食品は牛乳などの乳製品をはじめ、小魚や小松菜、豆腐などの大豆製品などがあります。1日600mg以上の摂取を目指しましょう。
また、シュウ酸を多く含む食べ物を食べる場合、カルシウムを多く含む食べ物と一緒に食べることにより、シュウ酸の吸収が抑えられます。例えば、紅茶に牛乳を加えてミルクティーに、ほうれん草はクリーム煮やじゃこあえにするなど工夫してみてくださいね。