私が運動音痴だから、子供にもそれが遺伝しているのかも…幼稚園や小学校の運動会で、子供が走る姿にそう感じたことはないでしょうか。しかし実際に運動神経が遺伝することはなく、親がきちんとサポートすることができれば、改善することは可能です。そこで子供の運動音痴の原因から、改善する方法について詳しくご紹介します。
目次
子供の運動音痴の原因は?
子供の運動神経は生まれつきではなく、成長過程でどれだけ運動の経験を積むかによって変わってきます。ではなぜ、運動ができる子とそうでない子と差が出てきてしまうのでしょうか。
成長途中で、体ができあがっていない
子供の成長には個人差があるだけでなく、骨格や筋肉は未発達であるため、同じ年の子供達でも体格や運動神経には差があります。この時期に運動が楽しいものだと感じることで運動好きな子供に育ちます。
脳からの伝達がうまくいっていない
子供の時点では、運動の経験が少なく、脳からの信号が体にうまくつながりません。そのため左右のバランスを上手に取ることができなかったり、右の手足が一緒に出てしまうなど、ぎこちない動きをしてしまうことが多いのです。
体を動かす機会や場所が少ない、家で遊ぶことが多い
子供の安全を重視して、家で遊ばせていることが多い、またゲームばかりしている、そういった環境で子供を育てていないでしょうか。運動をする機会が少ないと、運動をすることの楽しさを感じられないため、運動をすすんですることがなくなってしまいます。そうなると運動神経が鍛えられなくなってしまいます。
運動神経と運動能力ってどう違うの?
運動神経が悪いから、また運動能力がいいから、といった言葉をよく聞きますが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。
運動能力とは、身体能力ともいわれ、体が主体であり、運動神経とは脳の指令と体の連携がスムーズにいくための脳が主体のものです。つまりそれぞれ別々のものなのです。
文部科学省は、子供に必要な身体能力として、4つのものをあげています。
初等中等教育修了までに身につけるべき身体能力
1.瞬発力:短時間に集中して力を発揮する、走る能力や飛ぶ能力
2.持続力:一定のペースで走る、重いものを持ち上げたり、運ぶ能力
3.柔軟性:膝を曲げずに上半身を曲げることができる、関節がやわらかく動く
4.運動に合わせた体を動かす能力:水の中で浮く、泳ぐ、潜ることができる、リズムを取って動くことができる、マットや鉄棒で体を支える、バランスを取ることができる、危険を回避したり受け身が取れること
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05091401/003.htm
(文部科学省:体育の目的の具体的な内容)
この場合、運動神経と身体能力どちらを優先するべきなのか悩んでしまうかもしれません。しかし運動の経験が少ないと、脳でいくら運動のイメージができても、体を動かすことはできません。
つまり子供のころから運動に慣れさせ、身体能力を高めることが大切だといえます。
運動音痴を改善する方法
それでは具体的にどうすれば運動音痴が改善されるのか、その具体的な方法をご紹介します。
1.運動は楽しいものだと感じさせる
運動は苦しいもの、辛いものだと感じると、運動を敬遠するようになってしまいます。親子で運動を楽しめるように工夫をし、気持ちもそう持って行くことが大切です。
2.色々なスポーツを経験させる
まだ体ができあがっていない子供のうちに、サッカーだけ、野球だけ、といった風に一つだけのものを集中的にさせるのではなく、色々な体の動きを体に覚えさせることが必要です。また左右対称の動きやバランスが取れる運動なども積極的にしましょう。
3.12歳までにトレーニングを行う
体に指令をだす神経系統は、12歳ごろになるとその成長が終わってしまいます。つまり12歳までの間に、五感を刺激し、神経を発達させるトレーニングを行うことが大切なのです。
年齢別で行いたいトレーニング
12歳の神経の発達する間にトレーニングを積み重ねることで、運動の楽しさや興味を感じるようになり、運動神経もよくなっていきます。年齢に合わせ、親子でトレーニングを行いましょう。
0歳から1歳、歩き出す前まで
五感が未発達のこの時期には、親子でふれあうスキンシップの時間が大切です。この時期の赤ちゃんは、見るもの感じるものがすべて刺激になります。ベビーマッサージ親子でふれあう、また散歩をするのもおすすめです。
首がすわり、はいはいを始めるようになったら、指先を使うおもちゃで遊ばせたり、音楽や絵本の読み聞かせなど、聴覚の刺激も忘れないよう、様々な経験をさせてあげましょう。
歩き始める2歳から4歳
歩き始めたら外遊びを積極的にするようにしましょう。また家の中でもお馬さんごっこでバランス感覚を鍛えたり、チャンバラごっこをするのもおすすめです。遊びながら体を動かすことが「楽しい」と思えるような経験を積むことが必要です。公園での砂場遊びや遊具を使った遊びなども、全身を使う運動になります。
5歳からは道具を使う運動やルールのあるスポーツを経験させる
学校で友達と遊ぶ機会も増えてくるこの年代では、周りと協力して遊ぶスポーツや、スポーツのルールの意味を理解することを学ばせましょう。また縄跳びや自転車など、道具を使った遊びもおすすめです。さらに家の手伝いをしてもらうことで、体を動かすことにつながります。
12歳までに色々なスポーツの経験を積む
野球やサッカーなどを始める子供も多い年代になりますが、それだけをするのではなく、水泳や体操など、他の動きも必要となる、まったく別のジャンルのスポーツも経験させましょう。休日には家族でスポーツセンターに行くのもおすすめです。
運動音痴を解消するためには、まず親がスポーツへの苦手意識をなくすことも大切です。楽しい、面白い、と親が思い、それが表情に出ることで、子供にもそれが伝わります。遊びを楽しむことから始めて、親子一緒に運動を楽しむ毎日を送るようにしましょう。