風邪を引いたと感じたらすぐに薬に頼ってはいませんか?
風邪薬は症状の緩和には役立ちますが、風邪を長引かせたり、他の症状を引き起こしたりする可能性もあります。
今回は風邪薬の特徴や風邪の治し方をご説明いたします。
風邪とは?
そもそも、私たちが「風邪」と呼んでいるのは一体どのようなものなのでしょうか。
私たちが風邪と呼んでいるものは「風邪症候群症」の略であり、鼻やのどに起こる急性の炎症を意味します。
8〜9割の風邪はウイルスに感染することで引き起こされますが、ウイルスの種類はさまざまです。代表的なものを挙げるライノウイルスやコロナウイルス、RSウイルスなどは風邪の原因として知られています。
風邪の症状
風邪の症状はウイルスや体の状態によって異なりますが、主な症状は以下の通りです。
・鼻水、鼻づまり
・のどの痛み
・咳
・発熱(38度程度まで)
なお、風邪はインフルエンザとしばしば間違えられます。
症状は人によって異なるため、一概には言えませんが、引き始めに鼻水が出たり、のどに痛みを感じたりすると風邪であることが多いです。
発熱にも違いが現れます。インフルエンザになると突然高熱になりますが、風邪では熱は上がりにくいです。
薬が逆効果なのはなぜ?
私たちは風邪を引くと薬局で風邪薬を購入するか病院を受診して「風邪薬」を処方してもらいます。ところが、この風邪薬は風邪に逆効果であると考えられているのです。
風邪薬が逆効果な理由は何なのでしょうか。
風邪薬の種類
風邪薬として処方されているものは主に「対症薬」、「抗生物質」、「市販の風邪薬」3種類に分けられます。
対症薬
対症薬は症状の緩和を目的に使うものです。鼻水が出たときはそれを止める抗ヒスタミン薬、のどが痛い時にはうがい薬、熱が高い時には鎮痛剤と患者さんの症状に合ったものをお医者さんが処方してくれます。
市販の風邪薬
薬局で購入する市販の風邪薬は風邪のさまざまな症状をやわらげるためのものです。抗ヒスタミン薬や鎮咳薬、解熱剤などをまとめて一つの薬を作っており、一種類の薬を飲むだけでさまざまな症状の緩和を期待できます。
抗生物質
抗生物質は細菌を殺す目的で使われるものです。
風邪の時には抵抗力が弱り、さまざまな細菌に感染しやすくなります。細菌感染を防ぐのが抗生物質の役割であり、高熱が出ているときやのどの炎症が強いときに使われます。
風邪薬は効かない?
3種類の風邪薬はそれぞれ、症状をやわらげたり、細菌を殺してくれたりと効果があるように思ってしまいます。しかしながら、これらの薬は直接風邪を治しているのではありません。風邪に効かない理由は2つです。
対症薬は症状を抑えるだけ
まず、対症薬は症状を抑えるだけであることを覚えておかなければいけません。
子供が高熱に苦しんでいる時やどうしても休めない仕事がある時に対症薬を飲むと症状は緩和されますが、ウイルスが死んだわけではないので症状がぶり返す恐れがあります。
抗生物質はウイルスを死滅させられない
また、抗生物質は細菌にしか効果を示さないことにも注意しなければなりません。風邪は一種類もしくは複数のウイルスに感染することで症状がでますが、抗生物質にはウイルスを殺す効果はありません。 抗ウイルス薬はインフルエンザや水疱瘡などの感染症を治すためものしか存在しないため、風邪の原因は薬では取り除けません。
風邪薬はウイルスを殺すためではなく、症状を緩和したり、免疫力が低下して細菌感染するのを防いだりするために使われているのです。
風邪薬は逆効果になることも
風邪薬はウイルスに効かないだけでなく、逆効果になってしまうこともあります。風邪薬が悪影響となるのは2つの理由からです。
風邪の症状は免疫反応
鼻水、のどの痛み、発熱などは免疫反応の一つです。ウイルスを体外に追い出すために鼻水を出したり、のどに炎症がおこったりします。
また、発熱は風邪を引いた体を治すために免疫が活発に動き出したという証拠です。免疫反応は体を守るためのものなので、対症薬で抑えてしまうと風邪が治りにくくなる可能性があります。
副作用がある
市販の風邪薬や抗生物質を飲むと副作用が現れることがあります。
市販の風邪薬は一人ひとりの症状に合わせて配合されたものではありません。多くの人が悩む風邪の症状を緩和するためにたくさんの薬が使われています。
風邪で弱っているときは体へ負担がかかり、下痢や便秘になる可能性があるのです。
細菌を殺す抗生物質にも副作用の危険性があります。
抗生物質によって出てくる可能性のある主な副作用は下痢と便秘です。体にとって悪い菌だけでなく、健康を守る菌の働きも弱めるため、腸内の善玉菌が減って便秘や下痢につながります。
治し方のポイント
風邪を引いたら、薬に頼るのではなく、自分の力で治していきましょう。風邪を治すときは免疫力を高めることが大切です。
免疫力を高めるための3つのポイントをご紹介します。
ゆっくりと眠る
「風邪のときはゆっくりと寝ると良い」といわれるのは睡眠中に免疫物質が作られるためです。「B細胞」と呼ばれるウイルスに対する免疫細胞が活発に働くことによってウイルスから体を守れます。
体を温める
体温1度につき、30%の免疫力が低下すると考えられています。風邪を引いたら、しっかりと体を温めて免疫力を高めましょう。汗をかいたら、体を冷やさないようにその都度着替えるようにすることも大切です。
なお、風邪を引いていても発熱の症状がないときは入浴することに問題はありません。熱が高い時や体力が消耗されている時以外は湯船に浸かって体を温めると良いでしょう。
風邪に効くものを食べる
風邪を引くと体はウイルスと闘うためにたくさんの栄養を使います。風邪を引いたときは栄養不足にならないように食事を摂ることを心がけてください。風邪の時に特に取りたい栄養素はビタミンA、ビタミンC、タンパク質の3種類です。
ビタミンA
ビタミンAにはのどや鼻の粘膜を正常に保って免疫力を高める作用があります。レバーやウナギにたくさん含まれています。
ビタミンC
ビタミンCは免疫力を高める効果があります。野菜や果物にたくさん含まれており、体に蓄えられないため、毎食摂取することが大切です。
タンパク質
タンパク質はさまざまな細胞や筋肉を作りだす栄養素です。不足すると体に不調が現れるので、風邪のときも積極的に摂りましょう。納豆や肉類に多く含まれていますが、食欲がない時は豆乳などを飲むのもおすすめです。
風邪はゆっくり休んで自力で治そう
風邪はウイルスによって引き起こされる感染症です。 「風邪を引いたかな」と思ったら、無理をせずにゆっくりと休み、薬に頼らずに自分の力で治しましょう。
日ごろから、手洗い・うがいを欠かさず、ウイルスが活動しにくいように部屋の湿度を上げておくなど風邪を引かないための工夫も大切ですよ。
なお、症状が長引くときや段々とひどくなってきたときは無理をせずに受診して、薬を処方してもらってくださいね。