頭シラミとは頭シラミ症ともいわれ、頭にシラミが寄生してしまうことで頭皮が痒くなってしまう疾患です。
頭シラミというと、昔のように衛生面が悪かった頃の話で、今は頭シラミなんていないんじゃないかと思うかもしれません。ところが、決してこの頭シラミに罹っている人は少なくはないと国立感染症研究所感染症情報センターで発表されています。
目次
「頭シラミ」の特徴と見つけ方
頭シラミの特徴
シラミ自体、綱咀顎目シラミ亜目に属した昆虫の一種です。シラミは約1000種いるとされ、頭髪について寄生する頭シラミ、陰毛について寄生する毛シラミ、衣服について寄生する衣シラミと大きく分けられます。
頭シラミの大きさは、卵では0.5mm前後・幼虫では1mm前後、成虫では2~3mm位です。オスでは2~4mm、メスでは2~3mmの大きさです。不完全変態の生き物で、卵が生まれてから幼虫から成虫に変わります。頭シラミはずっと人間の頭髪に寄生して成長していきます。
この頭シラミは、ただ人間の頭にいるだけではありません。人間の血を吸うのです。その為、頭シラミの口は血を吸いやすい形状をしていて、成虫になるに従い頭髪にガッチリしがみつきやすいように3対の爪のある足をしています。ノミの様にピョンピョン跳ねる性質はなく、じっと髪の毛にしがみついて吸血する性質があります。
頭シラミは産卵後約1週間ほどで孵化します。その後は3回ほど脱皮を繰り返しながら幼虫から成虫に約2週間かけて成長します。成虫すると交尾をすることでメスは1日3~4個卵を産みます。1か月後には100個も卵が増えていき、早く対処しないと増殖して大変なことになります。寿命は、孵化してから約1~2か月と短いですが、その間に毎日卵を産んでいき、とんでもない数に。
一時期1980年頃にスミスリンパウダーという頭シラミに効くピレスロイド系の殺虫成分が入ったものが売られ、頭シラミ自体発生が少なくなりましたが、1990年頃から増え始めてきました。罹る人の約9割は0~11歳の子供で、年間5000~6000人が罹っています。
頭シラミの見つけ方
頭シラミは小さいですが、よーく頭髪を見てみると目視で見つけることが出来ます。色は灰白色で身体が透けています。そして、人間に寄生すれば血を吸うので、血を吸った後だったら茶色や黒っぽい色をしています。
頭シラミの卵は一見フケと似ています。フケと違うのは、1本の頭髪を囲むようにしっかり付着していて、フケの様に下に落ちません。フケよりも厚みがあります。また、フケは簡単に払えば落ちますが頭シラミはこびりついてなかなか取れません。根元より少し離れた所に付着していることが多いです。後頭部や耳の後ろ側で多く目に付きます。なぜ耳の後ろ側に多いのかというと、ここに太い血管があるので頭シラミにしたら血が吸いやすいのです。
感染する原因と症状
ではなぜ頭しらみはいつの間にか人間の頭髪に寄生してしまうのでしょうか?また寄生することで、どんな症状が出るのでしょうか?
感染する原因
頭シラミが頭髪に付着することで寄生し、卵を産み付けてどんどん増殖していってしまいます。
頭シラミが人間の頭にどうやって感染してしまうのかというと・・・
1.プールや温浴施設などで
一般的にプールを行う頃に多く、水を仲介してうつりはしませんが、タオルやクシの共用で感染することが多いです。
2.寝具を介して
兄弟間、保育園などのお昼寝の時間などでシーツや枕に付着した頭シラミが他の子の頭髪に付くことによって感染が広がります。
3.タオル、クシの共用
頭シラミのついた頭髪をタオルで拭いたりクシを使うことで、頭シラミがタオルやクシに付着してしまい、それをまた別の人が使用して頭シラミがうつっていってしまうのです。
4.長い髪の毛の女子に多い
長い髪の毛は頭シラミが隠れて付着しやすくなります。
5.頭髪同士が触れることで
頭をくっつけて寝たり、ゲームなどをしてお互いの頭髪がくっつく時間が長くなるほど頭シラミが感染していきます。
不潔にしているから罹るイメージが強いですが、清潔にしていても罹るのです。
症状
主な症状は頭皮の痒みです。場所は後頭部や耳の後ろ側が多いです。痒みが続くと、搔いて湿疹が出来たり、それがとびひしてしまいやがて広範囲に渡ります。頭シラミの数が多くなれば、当然痒みも酷くなり、掻き毟って頭皮に傷が出来てしまいます。酷くなると、そこからバイキンが入り発熱やリンパが腫れて悪臭がすることも。この状態では治療が必要になってきます。
また、頭シラミの数が少なければ、痒みがないこともあります。
頭シラミは血を吸うので、その際に微量の頭シラミの唾液が注入されることで痒みが出てきます。
痒みは大変ストレスになりやすいです。幼い子供が感染すれば、痒くて機嫌も悪くなりますし、痒さのあまり勉学に集中出来なくなってしまいます。
どんな時期に発生しやすいか
圧倒的に0~11歳の子供に罹りやすく、注意が必要です。特に幼稚園や小学校などでプールの時期になる6~7月に発生することが多いです。
かといって、冬でも大丈夫とも限りません。通年頭シラミには警戒せねばなりません。
頭シラミが見つかった時の対処法
家族に頭シラミの人がいたら、他にも感染している人がいないかチェックしましょう。もし、頭シラミが見つかったら、なるべく早く対処しましょう。
頭シラミ専用コームで髪の毛を梳かして頭シラミを除去
頭シラミ専用の目の細かいコームがあります。通販などでも手に入ります。このコームを使って髪を梳かして頭シラミを取り除きます。
確実に全て取り切れるわけではありませんが、それでもある程度取るだけでも数は減らせます。
目の細かいコームなので、長い髪の毛だと梳かすのが大変になってきます。短くすることで、梳かしやすくなり頭シラミを取りやすくなります。
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頭シラミ専用のシャンプーを使う
頭シラミを駆除できる「スミスリンシャンプー」や「シラミとりシャンプー」を使うことで、殺虫成分が入ったシャンプーなので効果的に駆除できます。特にスミスリンシャンプーは殺虫成分フェノトリンを使用していて、パウダータイプとシャンプータイプとあります。3日に1回使用し、10日程使用するとかなり数を減らせることが出来ます。ただ、耐性のついた頭シラミもいるので、最近では効果が絶対あるとは言い切れないとの声もあります。また、卵には効き目がないので、孵化するまでの期間(1週間~10日位)まで使用します。
ドラッグストアでも売られていますし、なければ通販で簡単に手に入ります。
シャンプーの仕方
シャンプーする際に先程の目の細かい専用のコームで、髪の毛に泡がついている状態で梳かすと取れやすくなります。シャンプー剤で頭シラミが根元に逃げ込むことがあります。根元や頭皮を意識しながら洗います。
お子さんの髪の毛を洗う際には、お子さん自身に洗わせず、出来れば大人が洗うのを手伝って下さい。
髪の毛を短くする
髪の毛が長いと、コームも梳かしづらく、頭シラミも隠れやすくなるので寄生しやすくなります。頭髪を短くすることで数も減らせます。
頭シラミの卵の取り方
頭シラミ専用のコームで卵を取るのは難しいです。見つけたら爪で卵をつかんで毛先までスッーとスライドさせて取ります。
感染することを理解し感染を拡大させない
頭シラミは人から人へ感染していきます。なので、家族で1人いたら家族全員で感染しないように気を付けなければなりません。
心掛けることとしては、頭同士をくっつけない、帽子・タオル・クシやブラシ・枕など頭髪に触れる物は共用しないようにしましょう。頭シラミは熱に弱く約60度を5分間ほど当てることで死滅します。乾燥機やアイロンを当てるなどするのも効果的です。
本来頭シラミで病院に行くまではないのですが、ドラッグストアなどで簡単に頭シラミの駆除シャンプーは売っているので駆除に関してはご自身で行い、頭シラミの数が多く痒みが酷くなって掻き毟ってとびひや酷い炎症を起こしている時は病院へ行きましょう。