「汗疱」という手指・手の平や足裏・足指に水疱が出来る症状をご存知でしょうか?一見すると、水虫に似ています。なので、水虫かもと心配される方も多いです。
この汗疱とは一体どんな症状で、原因や対処法はあるのでしょうか?
目次
汗疱(かんぽう)とは?
汗疱とは小さな水疱が手指・手の平や足裏・足指に出来る疾患です。また、この汗疱は「異汗性湿疹」もしくは「指湿疹」とも呼ばれます。汗の出やすい春から秋くらいに症状が出ます。
見た感じは水虫に似ています。しかし人から人にうつることはありません。
また、汗疱状湿疹といって、汗疱が悪化し、湿疹となってしまった場合の症状があります。痛み・痒みの症状が出ます。
汗疱の原因と症状
汗疱の原因
確実な原因は特定できませんが、以下の原因が考えられます。
1.汗によるもの
比較的夏に多くの方がこの汗疱の症状が出ます。汗によるものではないかと考えられています。汗をかきやすい人に多く見られ、汗が出る際に皮膚の表面に出ることが出来ずに、皮膚内部に汗が溜まった状態になってしまいます。また汗疱状湿疹といって、水ぶくれだけでなく湿疹が出来て炎症を起こしてしまう状態をいい、溜まってしまった汗で炎症を起こしているとの見方もあります。
2.金属、喫煙、食べ物によるもの
金属によるものでは歯の被せものやアクセサリーなどを身に着けることで症状が出たり、喫煙、食べ物も原因と考えられています。これらが原因と考えられるとしたら、皮膚科でパッチテストをすると分かります。
3.疲れや自律神経の乱れ
疲れている時や自律神経が乱れている時に、症状が出たり悪化することもあります。
4.ビオチンが不足している
ビオチンは皮膚形成に不可欠なビタミンで、これが不足することで発生するとも考えられています。
汗疱の症状
手指・手の平や足指・足裏に小さな水疱が左右対称に多く現れる症状です。指の側面に出ることが多いです。大きさは約1~2mm位の小さな水疱です。水疱の数がたくさんになると、それが大豆の様に大きくなってしまうことがあります。
痒みのないこともありますが、赤くなって湿疹が出来ると痛み・痒みが出ることもあります。特にお風呂上りなどの血行が良くなっている時は痒みが強く出ることもあります。水疱には透明の液体が入っていて、この液体が吸収されることで約2~3週間で皮膚の皮が剥けてきます。また酷くなると、水疱の状態から汗疱状湿疹になっていきます。
水虫と汗疱は似てるが違う
水疱状のものが出来ると、ひょっとして水虫なのでは?と心配になりますよね。
では、水虫か汗疱かどのように違うかですが、水虫はカビの一種である白癬菌よるものです。多くは足裏や指の間に出来ますが、手にも爪にも出来ることがあります。高温多湿が好きな白癬菌ですが、汗疱も汗をかきやすい人にしたら紛らわしくて分からないですよね。
汗疱が金属によるものならパッチテストで分かりますし、水虫は白癬菌の有無を調べることで判断がつきます。水虫かどうかは、実際に皮膚科に行った際に、皮膚の落屑を取って顕微鏡で白癬菌の有無を調べることで判断がつきます。
水虫は治るまで期間が長くかかります。治ってもまた再発もします。汗疱は原因が取り除かれればわりとすぐ直ることが多いです。両方共痒みが出ますが、そしてどちらかというと、水虫の方が足の痒さは勝っています。
汗疱の対処法
1.汗を除去する
汗によって汗疱が出ることがあるので、汗をかいてもなるべく汗の成分を皮膚に付着したままにしないことと、汗をかきにくくする為になるべく高温多湿な場所に行かないようにするなど工夫しましょう。足汗は風通しの良い靴やサンダルを履くことで、ある程度防ぐことが出来ます。
2.抗アレルギー薬・ステロイド外用薬・サリチル酸などを用いる
汗疱が悪化して湿疹が出来てしまった時には、抗アレルギー薬・ステロイド外用薬・サリチル酸などを用いて治療をすることがあります。
痒みがある時には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使うことがあります。
3.尿素配合のクリームを使う
古い角質が剥がれる際には、尿素配合のクリームをつけるとおさまりやすくなります。
4.出来てしまった水疱は潰さない
見た目が気になってつい水疱を潰したくなるかもしれませんが、そのままにします。皮膚も皮が剥けて気になるかもしれませんが、無理に剥くことはしないようにします。
あまりに汗疱の症状が悪化した際には、医療機関に行った方がいいですが、そこまで酷くなければ汗をかいたら出来るだけ長時間そのままにせず洗い流すことを意識してみましょう。
汗疱状湿疹までの状態でなければ、そのままにしておいて自然に治っていきます。なので、軽い状態なら皮膚科で汗疱と診断されても特に薬は処方されません。
水虫だったらうつるしなかなか治らないと聞くし、不安になりますよね。もしこの水疱が水虫でなく汗疱なら治る可能性は充分ありますよ。