ペットを飼っていると小さなものの取り扱いには気を付けなければなりません。猫が誤飲すれば大変なことになってしまうものは案外多いのです。万が一、誤飲した場合には病院を受診するよりもまず自宅でできる応急処置も大切な行動です。そこで今回は猫が誤飲しやすい危ないものや、誤飲してしまったと気づいたときに行う応急処置についてご紹介したいと思います。
なぜ誤飲するのか
エサでないものをどうして猫は食べてしまうのでしょうか。
猫が誤飲する理由は、好奇心からというのが大きいですが、中には寄生虫感染や、異食症が原因の場合もあります。
食べても太らなかったり、お尻を地面にこすりつけるようであれば、寄生虫に感染しているのかもしれません。
ストレスが大きい環境や栄養不足があると、異食症の原因となります。
猫が誤飲しやすい危険物はこれ!
何気なく自宅に置いているものの中には、猫が誤飲してしまう危険なものが多くあります。
思いもつかないものを誤飲することも多々ありますから、あらかじめ危険なものは置かないようにしましょう。
2016年5月、国際組織「ICC」が、猫が誤飲しやすいといわれる日用品リストを作成しました。
そのリストによると次のようなものが危険なようです。
・輪ゴム
・コイン
・ボタン
・果物の種
・針と糸
・哺乳瓶の吸い口
・各種繊維製品(リボン、デンタルフロス、絨毯、ブラインドの引き紐など)
他にもビニール袋やカーテンのほつれ、ゴム製のフロアマットを誤飲したケースもあります。
ネットでは靴紐を誤飲した飼い主さんからの注意喚起の投稿もあがっています。丸くて小さなものだけでなく、紐状の長いものも誤飲するので、家の中は危険なものであふれているということになりますね。
猫は食事を丸呑みする習性があるので、誤飲しても吐き戻す嘔吐反射が極端に小さいです。そのため、靴紐のような細長いものでも平気で飲み込み切ってしまうのです。
こんな症状は誤飲のサイン
食べるところを直接見ていなければ、誤飲したことに普通は気づきません。そのため、誤飲後の症状で判断する必要があります。
誤飲のサインを見逃さないようにしましょう。
・えづく
・口をパクパクする
・呼吸が苦しい
・エサを食べなくなる
・ぐったりする
・チアノーゼ
これらの症状が見られたら、何かを誤飲してしまった可能性が高いです。
誤飲に気付いた時にすべき応急処置
猫が誤飲しやすいものは極力置かないようにしたいですが、中にはそんなわけにはいかないものや、ついうっかり、なんてこともありますね。
直接取り出す
まずは、猫の口の中を覗いてみましょう。覗いて誤飲した異物が見えるなら、指やピンセットを使って直接取り出しましょう。その際は口の中を傷つけないように、猫をしっかり固定して行うことが大切です。
オキシドールを飲ませる
消毒用のオキシドールを体重1kgあたり1mlを飲ませます。スポイトなどを使って少しずつ、口の端から入れていきましょう。
オキシドールが胃の名に入ると酸素の泡が発生します。酸素の泡は胃を膨張させ、吐き気をもよおしてきます。
そして異物を吐き出すのです。
オキシドールを飲ませて15分ほど待っても吐く気配がないなら、再度同じ量を飲ませましょう。
塩を飲ませる
ティースプーン1杯ほどの塩を直接か、濃い塩水を飲ませます。
オキシドール同様に、吐き気をもよおします。
猫にとって塩は獣医師でも「少量なら大丈夫」「少量でも危険」と意見が分かれるところではありますが、持病のあったり高齢な猫には塩は使わないようにしましょう。
誤飲した異物を吐き出させるのは、誤飲後1時間以内です。
猫に異物を吐き出させるのはとても難しいので、無理をせず動物病院を受診しましょう。
処置はあくまで自己責任で行ってください。
吐かせてはいけないもの
誤飲したからといって、なんでもかんで吐かせるのはNGです。
吐かせることで胃や食道を傷つけてしまったり、中毒症状を引き起こす可能性があるからです。
一般的に吐かせてはいけないものは次のようなものです。
・プラスチック片など角の尖ったもの
・針などの鋭利なもの
・何を食べたか正体がわからないとき
・痙攣などの中毒症状が出ているとき
このような場合には、無理に応急処置をしようとせずに、すぐに動物病院を受診して処置してもらいましょう。
手術費用は?
飲み込んだ異物によっては手術が必要なケースもあります。
そんなときに気になるのが手術費用ですね。
ペット保険に入っている方は安心ですが、入っていない方は猫の心配半分、費用の心配半分といったところではないでしょうか。
誤飲の手術による費用は動物病院によって差がありますが、およそ10~20万円くらいが相場です。
手術や麻酔、点滴、血液検査などが高額になりがちです。
異物が胃の中にとどまっていれば開腹手術には至らず、内視鏡で除去できることも多いようですが、胃を通過して腸にまで運ばれている場合には、開腹手術が必要になります。
飲み込んだものによっては腸閉塞を起こし、腸自体を切り取る手術も必要になることもあります。
日中、猫に留守番させるような場合は、誤飲しやすいものは隠しておくことで、誤飲のリスクを減らすことができます。
おもちゃで遊ばせるときにも、猫を観察してあげるようにしましょう。