高血圧症の改善や、予防に効果があるとして、カリウムが注目を集めています。体内にも存在するこの成分を、食事で摂取するにはカリウムを多く含む食べ物を選ぶ必要があります。そこでカリウムの効能やその働きと共に、カリウムと高血圧の関係、そしてカリウムを豊富に含む食品を詳しくご紹介します。
目次
カリウムとはどんなもの?
カリウムはミネラルの一種で、人間の体の細胞液に存在しています。そのほとんどが細胞内液にあり、一部が細胞外液にありますが、細胞外液に多く含まれるナトリウムと共に、血圧や細胞の浸透圧の調整を行っています。
この他、カリウムは筋肉の収縮や神経細胞の伝達など、神経伝達に大きく関わっており、体には欠かせない成分です。通常の食事で必要量は十分にまかなえますが、尿と共に排出されますので、心がけて摂取する必要があります。
高血圧とカリウムの関係性は?
高血圧になるのは、体内のナトリウムの量が増えることが原因の一つです。通常細胞の外にナトリウム、そして細胞の中にカリウムが存在し細胞液の濃度を保っています。
しかしナトリウムの量が増えると、細胞内に入り込んでしまいます。細胞外にわずかながら存在しているカリウムは、細胞内に入ったナトリウムを出そうとしますが、交換しきれなくなると、カリウムではなくカルシウムが細胞内に入ってしまい、血管が収縮されてしまうことで高血圧が起こってしまうのです。
カリウムが高血圧に及ぼす影響
細胞膜の浸透圧の調整
カリウムを摂取することで、細胞内液にナトリウムが入り込むことを抑え、浸透圧を調整して収縮した血管を戻して血行を正常化します。
ナトリウムの再吸収を抑える
細胞に吸収されなかった余剰なナトリウムは、腎臓で再び吸収されますが、これを抑えて体外に排出する働きをするのがカリウムです。
血圧を下げる
カリウムには血管を広げる働きがあり、血圧を下げる働きがあります。
このようにカリウムには、体内の血圧が上がった時にそれを調節する信号を伝達する働きに関わっており、その働きが高血圧の症状を改善、また予防することにつながっているのです。
カリウム豊富な食品
カリウムは様々な食品に含まれており、通常の食事をしていれば不足することはあまりありません。しかし通常の体内ではナトリウムよりカリウムの方が多く存在することで、ナトリウムが細胞内に入ってしまっても、細胞外に存在するカリウムが交換に働くナトリウムポンプという作用が働くため、問題はありませんが、高血圧になってしまうとその作用が正常に働かず、カリウム不足となってしまいます。
この作用を正常に戻すためにも、高血圧の症状を改善する方法として、カリウムを含む食品を積極的に摂る必要があるのです。
カリウムは野菜類、芋類、果物類、そして海藻類に含まれます。高血圧の予防には1日につき約3500mgのカリウムの摂取が良いとされていますが、最も多く含むほうれん草でも80gに552mg含まれるだけなので、意識して摂取する必要があります。
カリウムが特に多く含まれる食品
1.野菜類
ほうれん草や春菊をはじめ、タケノコやケールがカリウムを多く含んでいます。その他ニラやカボチャ、モロヘイヤがあります。
2.芋類
さつまいも、じゃがいも、里芋などに多く含まれています。
3.果物
アボカドが最も豊富で、バナナやリンゴにも豊富に含まれます。この他キウイフルーツや桃、スイカにも含まれています。
4.海藻類
ひじきやわかめ、のりにもカリウムが豊富に含まれます。加工に塩分が使われていることがありますので、注意が必要です。
5.その他
納豆や豆腐など大豆製品や、枝豆、きな粉に含まれています。
特にわかめは3gあたり156mgと多くのカリウムを含んでいます。また魚貝類のするめやくさやにも豊富にカリウムが含まれていますが、干し物であるため塩分も多いので大量に食べることは控えましょう。カンパチ、真鯛、マスなどはカリウムを多く含んでいるので、こちらを食べるようにしましょう。
調理は手際よく済ませよう
カリウムは水に溶けやすい性質があり、ゆでる、また水にさらすと溶け出してしまいます。そのため調理の際には、短時間でゆでる、もしくはスープや味噌汁など、汁ごと食べることができる料理に使用する方法で食べるのが効率的にカリウムを摂取する方法です。
また蒸し料理にすると、野菜などはかさを減らすことができ、量があっても十分に食べることができますので、油や塩分を控えることにもつながります。
カリウムを摂取する際に注意すること
食事だけでも十分に摂取ができるカリウムですが、不足を感じてサプリメント等でカリウムを摂取する際には、注意が必要です。
カリウムを過剰摂取した時の症状
・体がだるくなる
・めまいがする
・手足のしびれ
・動悸
・熱っぽさが抜けない
カリウムのサプリメントの摂取だけでなく、腎臓疾患がある場合や、高血圧の薬を飲んでいる場合にも、カリウムの濃度を高くする作用で過剰摂取となることがあります。これはナトリウムの排出を促す薬の働きによって、カリウムも一緒に排出されるため、これを補うために配合されていることが原因です。
通常の食事では過剰摂取にはなりにくいので、もし食事以外にも補う方法を考えている場合は、事前に医師に相談するなどするようにしましょう。
運動時や夏の暑さなどで、汗を大量にかくことでもカリウムは不足します。日頃の食事から、カリウムを含む食品を摂るだけでなく、適度な塩分の補給など、バランスの良い食事を心がけてください。