眠っている最中に無意識に発してしまう寝言。
まったく寝言を言わない人もいれば、しょっちゅう何かしら珍妙な発言をしている人もいますよね。
「昨日こんなこと言ってたよ」なんて翌朝の楽しい会話のネタにもなる寝言ですが、中には体の異常を知らせている危険な寝言もあるんです。
今回は、そんな危険な寝言の見分け方や、そこからわかる体の異常、寝言の対処法など、意外と知らない寝言についてご紹介します。
目次
寝言には2つの種類がある
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という2種類がありますが、寝言もそれぞれの睡眠のときに起こり、特徴にも違いがあるんです。
レム睡眠のときの寝言
レム睡眠とは、眠りが浅く、体は休息状態となっているものの、脳は働きつづけている状態です。
体は休んでいるため筋肉は緩んでおり、寝言の内容は聞き取りにくいのですが、夢の内容に影響を受けた奇想天外な発言をすることが多いです。
ノンレム睡眠のときの寝言
ノンレム睡眠とは、眠りが深く、体も脳も休んでいる状態です。
ノンレム睡眠のときの寝言は、脳も体も休んでいるのでムニャムニャと何を言っているのかわからない……のであれば問題ないのですが、ノンレム睡眠のときに起こる寝言こそ注意しないといけない点があるんです。
ノンレム睡眠のときの寝言はレム睡眠のときの寝言と違い、夢に内容が左右されるのではなく日中に受けたストレスに左右されやすいんです。
ストレスを受けていると筋肉は緊張してしまいます。睡眠中でも筋肉の緊張が継続してしまうため、睡眠中でありながら非常に明瞭な発音で、日常生活で実際に体験したことを感情的に発言することが多く、叫んでしまうこともあるんです。
この状態は、ストレスのせいで本来休んでいるはずの脳が十分に休めておらず、危険信号を発している可能性があります。
叫ぶ寝言の原因となる病気
寝言そのものは生理的なものなので、危険な寝言と問題ない寝言の線引きは難しい部分があります。しかし、睡眠中に叫んでしまったり、以前より寝言が増えているときは、以下のような病気が原因である場合もあるので注意が必要です。
重度のインフルエンザなど高熱の出る病気
インフルエンザなどにより高熱が出ると、大きな声を出したり寝言を言ってしまうことがあります。これは、高熱により意識がさだまっていないために出る「うわごと」なので、正確に言うと寝言ではありません。
多くの場合熱が下がれば治まりますが、特に子どもの場合は「熱せん妄(ねつせんもう)」といって異常行動が出てしまうこともありますので、解熱剤を使ってあげるなどして離れずに看病してあげるようにしましょう。
強いストレスや外傷後ストレス障害
強いストレスは寝言の大きな原因です。
特に、大きな事故や怪我による外傷後ストレス障害を発症していたりすると、悪夢を見ることが増え、うなされたり寝言を言うことも多くなる場合があるのです。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に度々呼吸が停止してしまう睡眠時無呼吸症候群。一見寝言とは関係なさそうですが、呼吸が停止するときにうめき声やうなり声のような声が出ることがあります。
いびきも睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状なので、いびきと寝言、呼吸の停止が見られたら睡眠時無呼吸症候群を疑いましょう。
レム睡眠行動障害
眠りの浅いレム睡眠のときに見た夢の動きを、そのまま現実で行動にうつすという睡眠障害の一種です。稀な病気であり、発症するのは50歳以上の男性が多いです。
眠っているにもかかわらず起き上がって走り出したりするので、夢遊病とも似ていますが、レム睡眠行動障害の場合は、大声で叫んだり、殴る、蹴る、物を投げるなどの暴力的な行動が多く出るという違いがあります。
本人は眠っているので記憶にないどころか力加減もできず、本人だけでなく近くで眠っている人にまで怪我を負わせてしまう恐れがあります。海外では、レム睡眠行動障害による行動で妻を殺してしまったという事件もありました。
ナルコレプシー
日中に発作的に強烈な眠気に教われる「ナルコレプシー」という睡眠障害の患者にも寝言が多く見られます。
10代での発症がほとんどで、笑ったり怒ったり驚いたりと、感情が大きく動いたときに突然脱力してしまったり、入眠時に幻覚が見えたり、睡眠中に金縛りにあったりしてしまうのです。
寝言の多くは感情的な内容で、悪夢を見ることも少なくありません。
夜驚症
3~6歳頃の子どもの寝言の原因として多いのが「夜驚症(やきょうしょう)」です。
睡眠中に突然悲鳴を上げたり泣き叫んだり、酷くおびえた様子を見せたり、呼吸が乱れて汗をかいているなどパニック状態に陥ります。
夜驚症は眠りが深いときに起こるので、夜泣きと違って部屋を明るくしたり声をかけても目を覚ましません。数十秒から10分程度で治まり、そのまま再び眠ってしまいます。
思春期までに自然となくなっていきますが、できれば日中のストレスを軽減してあげるようにすると良いでしょう。
叫ぶ寝言の対処法
突然叫び出すような寝言を言う人は、日中に強いストレスを受けていると考えて良いでしょう。
子どもの熱せん妄や夜驚症であれば、高熱に対する適切な対処を行ったり子どもの成長に従って寝言も自然と治まりますが、大人の場合はストレスの原因を突き止めてそれを解消したり、ストレスの解消を行うのが一番です。
睡眠障害などの病気が原因である場合は、専門医を受診して適切な治療を受けることが大切です。また、薬の副作用として寝言が出る場合もありますので、薬を服用しはじめてから寝言が増えたと言う場合は主治医に相談するようにしましょう。
睡眠中だからと侮れない「寝言」
実は、寝言が出てしまうメカニズムについては、まだ解明されていない部分も多いんです。
しかし、ストレスが寝言を引き起こすことはわかっており、 高熱を伴う病気、睡眠時無呼吸症候群やレム睡眠行動障害やナルコレプシーのような睡眠障害、子どもの夜驚症など寝言を引き起こす病気も少なくありません。
睡眠中の面白発言をネタにして楽しむのも構いませんが、あまりにも感情的だったり、叫び出すほどである場合は症状が悪化する前に原因を突き止めるようにしましょう。