スマホやパソコンなどを使う機会が増え、視力が年々落ちていることが気がかりということはないでしょうか。視力が落ちると眼鏡やコンタクトレンズが必要になることもあります。これ以上視力を落とさないために、少しでも視力を向上させる今から始めたい視力回復トレーニングについて、詳しくご紹介します。
目次
視力が低下する原因はどんなことから?
日本人の中で、目が悪い場合はそのほとんどが近視です。近眼ともいい、近くの物ははっきり見えるにもかかわらず、遠くを見るとぼやけて見えるという症状があります。海外の他の国の人々と比べても、日本人は近視の人が多い傾向にありますが、その原因はまだ解明されていません。
近視の他にも、遠視や乱視といった視力が低下する症状がありますが、これらは屈折異常によるものです。通常、私たちが物を見る際、目に入ってきた光が角膜と水晶体を通り、網膜にその像が映し出されます。このとき毛様体と呼ばれる組織が水晶体の厚み調節をし、像のピントを合わせる働きを行います。
しかしこの厚み調整がうまくできなかったり、眼球の厚みの違いなどにより、目に入った光が正常な位置で像を結べないと、目に映る物がぼやけてしまうことになります。きちんと見えない、つまり視力が低下する、という症状が起きてしまうのです。
これらの視力低下の原因として、遺伝によるものと、生活環境によるものとが考えられています。
遺伝によるもの
近視の遺伝は89%であり、その遺伝子も発見されていますが、すべての近視が遺伝によるものと結論づけることは難しいのが現状です。
人間は生まれてから20代前半までは眼球が成長するため、目の屈折状態が変化します。そのため、近視は子供の頃に症状が現れることが多いのですが、成人すると近視の進行は止まります。
環境によるもの
目に負担やダメージを与える日常生活の習慣が、視力低下の原因になります。
視力を低下させる日常生活の習慣
・パソコンやスマホ、タブレットの使用によるブルーライトの目への影響
・テレビ、スマホ、パソコンを目の近くで使用し、長時間見続けている
・悪い姿勢でのテレビ、パソコンの使用
・暗い室内でのスマホの使用
・パソコンの明るすぎる画面
・ストレス
・運動不足
・食生活の乱れ
・使用している眼鏡やコンタクトレンズの度が合っていない
このほか、目の病気が原因で視力が低下していることもあります。
視力回復に効果的なトレーニング
目にかかる負担を軽減することで、視力は回復することが可能です。視力回復のためのトレーニングを日常生活に取り入れ、視力回復をおこないましょう。
1.遠近トレーニング
近視は、毛様体筋が常に緊張している状態であるため起こります。遠くを見たり、近くを見たりすることで、水晶体の厚みを調節する筋肉である毛様体筋を動かし、その緊張をほぐすトレーニングです。
仕事の合間にしたいトレーニング
ボールペン、もしくは自分の指を使います。目の前にあるボールペンや指と、遠くにある物体を交互に見てください。この時、できるだけ遠くを見ると、毛様体筋がピントを合わせるため大きく動くようになっていきます。近くを見るのと遠くを見るのとを1セットとし、20セットを目安におこないましょう。
家でリラックスしているときにおこないたいトレーニング
親指の爪、もしくは紙に視力検査表のマークである「C」を書いて貼り、遠ざけたり近づけたりするトレーニングです。こちらは字がぼやける距離、またはっきり見える距離を意識し、毛様体筋に負荷をかけます。
近づけるときにはゆっくりと約3秒、遠ざけるときは約1秒ですばやくおこないます。はっきり字が見えるところからスタートしましょう。
この2つを毎日続けることで、毛様体筋が鍛えられます。
2.外眼筋を鍛えるトレーニング
目の周りにある外眼筋は、眼球を動かす筋肉で、この筋肉が緊張したままの状態であったり、衰えることで視力が低下します。簡単にできるトレーニングで、外眼筋を鍛えましょう。
1.目に力を入れて強く閉じ、顔は正面に向けたまま目だけで上を見ます。
2.同じように下、左、右と見ていきます。なるべく動かせる精一杯まで動かしましょう。
3.目を開き、横にした8、無限大のマークを3回指で宙に書きながら、それを目で追います。
4.今度は親指か人差し指を顔の前に出し、上下、左右、斜め上から下、下から斜め上、と動かします。指を見えるぎりぎりまで持って行くことで、外眼筋が鍛えられます。
3.マジカルアイトレーニング
マジカルアイトレーニングは、普段見るときとは違う目の使い方をすることで、眼球のトレーニングをおこなう方法です。立体視という見方で、右目で右の絵、左目で左の絵と、異なる画像を平行してみる平行法と、右目で左側、左目で右側の画像を視線が交差するように見る交差法の2つがあります。
簡単に立体視ができる動画がありますので、これを見ながらトレーニングしてみましょう。
4.虹彩トレーニング
眼球の内部にあり、目に入る光の量を調節する働きのある虹彩の筋肉を鍛えることで、ピント調節の機能を向上させるトレーニングです。虹彩の筋肉は意識して動かせないため、明るい場所と暗い場所を作り出すことによって筋肉を動かします。そのためこのトレーニングは、明暗トレーニングとも呼ばれます。
1.部屋を真っ暗にした状態で、机の上に蛍光灯スタンドだけを用意します。
2.目を閉じてから、蛍光灯スタンドをつけ、明るさを感じたら両手で目を覆います。
3.両手を離します。
4.明るさを感じてから5秒経ったら目を覆って5秒間、を10回程度繰り返します。
5.このトレーニング中は目を開けないようにしておこないましょう。
できるだけ部屋を真っ暗にしてからおこないましょう。
5.調節力トレーニング
目の焦点を合わせていくトレーニングが、調整力トレーニングです。眼鏡やコンタクトレンズに頼っていると、目は自らピントを合わせる機能が衰えてしまいます。それを改善するために、自分が見えているぎりぎりのところから、見える距離を伸ばしていきます。
1.自分の目で見える、ぼやけて見える境界点の位置に、花をいけた花瓶、絵や果物など、様々な色、形状が集まった物を置きます。
2.対象物を見つめ、形状を目でなぞるようにしっかり見ます。
3.見るときには目を細めたりせず、いつも通りに見ましょう。
4.3分ほど見続けたら、目を閉じて休憩します。
5.強くまばたきをしてから、再び対象物を見つめます。2回か3回繰り返します。
このほか、電車の吊りポスターやお店の看板など、見えるぎりぎりの距離の物を見るようにすることでも同じようなトレーニングが可能です。
視力回復のために気をつけること〜生活習慣〜
目にかかる負担をやわらげ、いたわる生活を心がけることで、視力の低下を防ぐことができます。
読書やパソコンをするときには目との距離に注意する
テレビやパソコンの画面、また本やスマホとの距離が近いと、目に負担がかかります。テレビは画面の高さの約3倍離れた場所から見る、パソコンの場合はディスプレイから目は40cm離し、画面は水平線上より下になるように設置しましょう。
スマホやゲーム機の場合、適切な距離は一人一人違いがありますが、30cmから40cmは離して使用するようにします。
部屋は明るすぎないようにし、目に直接光が入らないよう工夫する
机の上に電気スタンドや蛍光灯スタンドを置いて作業や勉強をする際には、それだけの照明だと目が疲れてしまいますので、部屋全体を明るくした上で、補助的に使うようにしましょう。
また蛍光灯のちらつきは目の負担となり、疲れ目や眼精疲労の原因となりますので、古い蛍光灯はまめに交換することが必要です。
視力回復のために気をつけること〜食生活〜
食事に気をつけることで、視力低下の原因となる眼精疲労を改善し、また目の周りの筋肉や、目を構成する細胞膜を丈夫にする効能が得られます。
目に効く栄養素
・アントシアニン
眼精疲労を回復し、視力をアップさせる効果があります。ブルーベリーやカシスなどに含まれています。
・ビタミンA
視覚や視力に関わるビタミンで、目の病気予防にも効果があります。レバーやウナギなどに含まれています。
・ビタミンB群
目周辺の疲労回復にはビタミンB1、目の粘膜の生成に関わるビタミンB2、水晶体の働きを助けるビタミンB6、視神経の機能を助けるビタミンB12などがありますが、単独ではなく複数を摂取することで効果がアップします。
ビタミンB1は豚肉やピーナッツ、ごまなど、ビタミンB2は卵や納豆、レバー、さばなど、ビタミンB6はまぐろや鶏肉、レバーなど、ビタミンB12はレバーや牡蠣、チーズなどに含まれています。
また食生活や普段の生活の改善に加え、適度な運動や十分な睡眠を取り、健康的な生活を送ることが、視力回復の大きな力となることも忘れないようにしましょう。