「魚のような口臭がする」、「口臭対策をしてもなかなか改善されない」と悩んでいませんか。
口臭や体臭が古い魚のような臭いであったり、口臭対策をしても効果を得られなかったりする場合は「魚臭症」という珍しい病気なのかもしれません。
魚臭症の原因や改善に効果的な食べ物についてご紹介いたします。
目次
「魚臭症(ぎょしゅうしょう)」とは?
「魚臭症(ぎょしゅうしょう)」とはその名の通り、口臭や体臭が魚の生臭い臭いになる病気です。
非常に珍しく知名度は低いですが、どれだけ対策をしても口臭が改善されなかったり、魚臭さを指摘されたりする人は一度魚臭症について確認してみましょう。
魚臭症の症状
魚臭症の症状は口臭や体臭が魚臭くなることです。
体調不良になったり、体のどこかが痛くなったりとニオイ以外の自覚症状が現れないため、周りに指摘されなければ、自分では魚臭症に気づいていない人も少なくありません。
ところが、魚臭症の人はひどい臭いを発していることが多く、場合によっては人を不快にしたり、部屋全体を臭くしたりすることもあります。
人から「魚臭い」と指摘されたり、魚臭いにおいを自覚したりしたときは早めに専門医の診察を受けてみましょう。
魚臭症の原因は?
それでは、強い魚臭さを発してしまう魚臭症はどのような原因で引き起こされるのでしょうか。
これは「トリメチルアミン」という物質を酵素が上手く分解できないためです。
トリメチルアミンって何?
トリメチルアミンとはタンパク質の変化によってできる物質です。
私たちが食事をすると食べ物は食道や胃を通って腸に達します。食べ物が腸まで到達すると腸内細菌によって分解され、必要な栄養素が体に吸収されるのです。
腸内細菌が食べ物を分解するときに分泌されるのが「トリメチルアミン」。
この物質はタンパク質の変化によってできるものなので、魚にたくさん含まれており、鮮度が下がるとトリメチルアミンが魚臭さを出してしまいます。
魚臭症の人はトリメチルアミンを分解できない
健康であれば、トリメチルアミンは肝臓にある酵素の働きによって分解されます。
そのため、魚臭症でない人は腸内細菌の働きによってトリメチルアミンが生成されても魚臭さが口臭や体臭として現れることはありません。
しかし、魚臭症の人は肝臓にある酵素がうまく働かないため、トリメチルアミンを分解できず、体にトリメチルアミンが溜まっていきます。
体内に溜まったトリメチルアミンは血液に取り込まれて、体中を巡ります。肺までトリメチルアミンが達すると呼吸が吐き出されたときに臭いが外に漏れて魚臭い口臭を発生させます。
魚臭症になるとトリメチルアミンは血液に取り込まれるため、臭いが発生するのは口からだけではありません。
汗とともに排出されると体臭が魚臭くなり、尿とともに排出されると尿の臭いが変わってしまいます。
肝臓の酵素が働かない原因は大きく二つに分けられます。
遺伝的な原因
一つ目の原因は遺伝です。生まれつき、トリメチルアミンを分解する「フラビン含有モノオキシゲナーゼ」と呼ばれる酵素を分泌できなければ、体内にトリメチルアミンが溜まって臭いが出てしまいます。
後天的な原因
もう一つの原因は肝機能の低下です。体調不良や病気などによって肝機能が弱っていると酵素の働きが弱くなってトリメチルアミンが溜まっていきます。
魚臭症に効果的な食べ物
魚臭症は非常に珍しい病気であるため、治療法は詳しく解明されていません。ところが、魚臭症を放っておくと体臭はどんどんときつくなり、自分が辛いだけでなく、周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
魚臭症であることがわかったら、できるだけ早めに症状を緩和するための対策を行いましょう。
魚臭症の対策として効果を期待できるのは食生活の改善です。次の2つのポイントを押さえて食事を取りましょう。
低コリンの食事
魚臭症の治療方法として最も効果を期待できるのはコリンの摂取量を抑えた食事を取ることです。
コリンは動脈硬化を予防したり、記憶力を高めたりする効果がある物質ですが、トリメチルアミンの元となる前屈物質です。
コリンをたくさん含んだ食事を食べ続けるとトリメチルアミンが増えて魚臭症が悪化するので、魚臭症になったら低コリンの食事を取りましょう。
コリンをたくさん含んだ食べ物
卵、肉類、豆類、アブラナ科の野菜にはコリンがたくさん含まれています。
食べ過ぎると魚臭症の症状が悪化することがあるので、魚臭症だと診断されたら、卵、肉類、大豆、そら豆、大根、キャベツ、ブロッコリーなどの摂取量は減らしましょう。
コリン不足には注意
コリンが魚臭症の臭い引き起こすトリメチルアミンの元となる一方で、私たちの健康を守るためには不可欠です。
コリンを制限しすぎると神経機能が低下したり、認知症のリスクが高まったりと健康面でデメリットがあります。
魚臭症を改善するために低コリンの食事を取る場合は食事療法が自分に合っているのかしっかりと確認することが大切です。なお、健康面で不安がある場合は医師と相談してからコリンの量を制限してください。
コリン以外に気をつけるべき物質
コリン以外にも大豆製品に含まれるレシチンやラム肉や牛肉に含まれるトリメチルアミンオキシドなどはトリメチルアミンの前屈物質です。
これらの食べ物も制限しすぎると体に悪影響を及ぼしますが、食べ過ぎると口臭や体臭を悪化させる危険性があるので、注意をしてください。
生の食べ物
私たちの体には食べ物の消化に必要な消化酵素と、排泄をしたり、免疫力を高めたりする代謝酵素が存在します。そして、これらに使われるエネルギーには限りがあります。
そのため、消化酵素がエネルギーを使いすぎると代謝酵素に使うべきエネルギーが不足してうまく代謝ができません。代謝機能が低下すると体にトリメチルアミンなどの不要物質が蓄積されて口臭や体臭が悪化します。
代謝が悪くなり、魚臭症の症状がひどくなっているときに役立つのが生の野菜や果物などのローフードです。
ローフードには酵素がたくさん含まれています。そして、ローフードは消化されるときに自らが持つ酵素を使います。
そのため、消化酵素に使うエネルギーが節約されて代謝酵素は十分なエネルギーを使って働けます。
代謝酵素が働けばトリメチルアミンの分解が進むため、魚臭症の改善に効果を期待できるのです。
魚臭症が気になったら、まずは受診!
魚臭症は非常に珍しい病気です。「魚臭症かな」と思っても他の病気であったり、汗のにおいが魚臭く感じられているだけだったりすることがあるので、気になる人はまず、専門医の診察を受けましょう。
魚臭症と診断されたら、少しずつ食生活を変えて症状の改善を目指してください。