「腸閉塞」の原因は?予防のために気を付けるべき7つのこと

「腸閉塞」の原因は?予防のために気を付けるべき7つのこと

腸が詰まり、便を上手く排出できない腸閉塞は症状がひどい場合は命の危険も伴う危険な疾患です。

腸閉塞はどのような病気なのでしょうか。また、予防のためには何に気をつけたらよいのでしょうか。

今回は腸閉塞の症状や予防法をご紹介いたします。

腸閉塞とは?

腸閉塞とは腸が何らかの原因で詰まった状態を意味します。

正常時、私たちが食べたものは胃を通過し、小腸や大腸で消化・吸収された後に不要なものが便として排出されます。

ところが、腸で何らかのトラブルが起こると食べ物のカスは排出されず、腸に詰まってしまいます。この状態を指すのが「腸閉塞」。

腸閉塞になると体にとって不要なものをスムーズに排出できないため、さまざまなトラブルが起こります。

「腸閉塞」の原因は?予防のために気を付けるべき7つのこと

腸閉塞の症状と原因

腸閉塞の主な症状と原因は次の通りです。

腸閉塞の症状

症状は人によって異なりますが、主な症状として挙げられるのは腹痛、腹部の膨張、嘔吐、排便やおならの停止です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

腹痛

腸の中で何かが詰まり、それによって食べ物のカスが肛門方向に進めない場合、体は不要なものを排出させるために腸を活発に動かし、腹痛を感じます

この場合、腸の活動の程度によって痛みの強さが変わることが特徴です。

その一方で腸に何らかのトラブルが起きて突然腸閉塞が起こったときは急激な腹痛に襲われます。急激な腹痛は痛みの程度が強く、時間によって程度に差がないことが特徴です。

腹部の膨張

腸閉塞になると肛門から排出できない不要物が腸の中にとどまります。そのため、おなか周りが膨れ、ハリを感じることが多いです。

嘔吐

腸閉塞の症状が進行すると吐き気や嘔吐の症状が現れます。これは便として排出できない不要物を体の外に出すためです。

症状が軽い場合や食べたものを吐いた後は一時的に症状が治まりますが、重症の場合は嘔吐後も不快感が改善されません

腸閉塞がひどい場合は口から便のようなものを吐いてしまうこともあります。

便やおならが出ない

腸閉塞が起こると便やガスが肛門から排出されません。このため、排便やおならが止まります。

命の危険を伴う絞扼性イレウスの症状

腸閉塞の中でも症状が重い絞扼性(こうやくせい)イレウスには特に注意が必要です。

絞扼性イレウスになると腸自体だけでなく、腸に栄養や酸素を運ぶ血管の流れも止められるため、顔面蒼白や頻脈、脱水、尿量減少などの症状を伴います。

絞扼性イレウスは早急に手術が必要なことも多いため、素早く受診することが大切です。

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腸閉塞の原因

腸閉塞の原因は大きく分けて次の7つです。

開腹手術

開腹手術が原因で起こる腸閉塞は多いです。

開腹手術で傷つけられた場所は徐々に回復します。その過程で本来は離れていなければならない腸同士や腸と腸壁が癒着することがあります。

癒着箇所は腸がねじれたり折れ曲がったりしやすく、腸閉塞が起こりやすいです。

腫瘍

大腸がんなどで腸に腫瘍ができた場合、食べ物のカスが腫瘍に詰まって腸閉塞が起こります。

また、腸の外に腫瘍ができた場合もそれによって腸は圧迫され、腸閉塞を起こす可能性があるのです。

胆石

胆石が原因で腸が詰まった場合、胆石性イレウスが起こります。

腸閉塞は症状が軽い場合、絶食や点滴などの治療で治ることもありますが、胆石性イレウスの場合は胆石を取り除く手術が必要です。

鼠径部ヘルニア

鼠径部ヘルニアによって腸の一部が飛び出すと、おなか周辺にある小さな穴に腸が入り込むことがあります。腸が穴に入って食べ物のカスの流れが妨げられると腸閉塞が起こります。

便秘

便が腸に詰まって起こるのが糞便性イレウスです。長期間の便秘であれば宿便が腸にたまり、便の流れが滞って腸閉塞になります。

食べ物

食べ物が原因で起こる腸閉塞を食餌性イレウスと呼びます。

消化の悪い海藻やこんにゃく、お餅などを一度に大量に食べると消化できずにとどまった食べ物が腸を詰まらせます。

食餌性イレウスは特に胃を手術した人になりやすいです。胃の機能が低下していると食べ物を蓄えることができないため、大量の食べ物が短時間で腸に流れ込んで腸閉塞を起こします。

腸ねん転

腸ねん転も腸閉塞を引き起こします。腸ねん転は加齢などが原因で起こる疾患であり、自然に腸がねじれることを意味します。

腸ねん転が起こると腸は食べ物のカスを肛門方向に送ることができずに腸閉塞になるのです。

「腸閉塞」の原因は?予防のために気を付けるべき7つのこと

予防のために気を付けるべきこと

腸閉塞は命の危険もある疾患です。予防するために気をつけるべき7つのことを確認しておきましょう。

食事の方法

噛む回数が少なかったり、暴食したりすると短時間で大量の食べ物が腸に入ります。

腸が大量の食べ物を消化できなければ腸閉塞をおこす可能性があるため、食事の際はよく噛み、ゆっくりと時間をかけて食べることを心がけましょう。

厚生労働省は一口につき30回噛むことをすすめています。

食べ物

腸閉塞を予防するためには食べ物にも気を使わなければなりません。消化の良いものを積極的に食べ、消化が悪いものは食べすぎに注意しましょう。

消化の良い食べ物

消化が良い食べ物は次のようなものです。

・豆腐
・牛乳
・おかゆ
・白身魚
・ジャガイモ

消化の悪い食べ物

腸閉塞のリスクが高い開腹手術後などは特に消化が悪い食べ物に気をつけましょう。

消化がよくない食べ物は次のようなものです。

・ごぼう
・たけのこ
・海藻類
・きのこ類
・こんにゃく

飲み物

腸閉塞の予防には便を腸内にとどめないことが大切です。便をスムーズに排出したいときに役立つのは水分。便秘に悩んでいる人は1日2リットル以上の水分を取ると良いでしょう。

体が冷えていると腸の機能が落ちて便秘になりやすいため、冷え性に悩んでいる人は温かいお茶や白湯を飲むのもおすすめです。

排便習慣

排便習慣を改善することも重要です。

頻繁に便意を我慢する人は便秘になりやすいため、トイレに行きたいときはなるべく我慢しないようにしましょう。

便秘に悩んでいる人はヨーグルトなどに含まれる乳酸菌を摂取し、腸内の善玉菌を活性化させると便秘解消に効果を期待できます。

便秘でおなかのハリや腹痛を感じているときは腸閉塞を予防するために下剤などの薬に頼るのも一つの手段です。

しかしながら、頻繁に下剤を服用しているとさらに便が出にくくなる可能性もあるため、薬は最終手段と考えた方が良いでしょう。

運動

運動不足になると腹筋などおなか周りの筋肉が衰えて排便時に力をいれられません。ウォーキングやジョギングなど軽い運動を始めましょう

ストレス

ストレスは便秘につながります。また、胆石を引き起こすこともあるため、ストレスの発散は腸閉塞予防に重要です。

日ごろ心身に疲れがたまっている人は体を動かしたり、音楽を聴いたりしてストレスを発散しましょう。

「腸閉塞」の原因は?予防のために気を付けるべき7つのこと

腸閉塞になったらすぐに病院へ

腸閉塞は一度発症すると自然治癒が期待できない疾患です。突然、腹部に突き刺すような痛みを感じたり、ひどい吐き気や嘔吐の症状が現れたりしたらすぐに医師の診察を受けましょう。

開腹手術後などでリスクが高い人は腸閉塞を起こさないためにも日ごろから生活習慣に気をつけてくださいね。

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