妊娠を希望する女性の皆さんは、できるだけ確実に、妊娠できる時期を把握しておきたい、と思われるのではないでしょうか。女性には、「排卵期」と「排卵日」があるのですが、これらの違いについてご存知でしょうか。どちらがより妊娠しやすい時期なのでしょうか。
今回は、その「排卵期」と「排卵日」の違いと、基礎的な知識について、ご紹介します。
そもそも「排卵」とは?
「排卵」とは、成熟した卵胞(らんぽう)が裂けて、卵巣から卵子が放出される現象のことです。生理初日から数えて、およそ2週間たった頃に起こります。左右どちらの卵巣から排卵されるのかは、規則性ではありません。放出されたたった1つの卵子は、卵管に取り込まれ、精子との受精を待つことになります。
排卵期と排卵日の違い
「排卵日」とは、上記の「排卵」が起きたその日のことを指します。
「排卵期」とは、「排卵日」の前後5日間のことで、この時期は子宮内に入ってきた精子をスムーズに卵子にたどり着かせるため、おりものの量が最も増える時期であると同時に、妊娠しやすい時期でもあります。精子は女性の体内で約48時間、受精能力があり、卵子は排卵後、約24時間受精可能な状態です。このことより、最も受精・妊娠しやすいのは、排卵期の中でも、排卵日の前日、前々日の2日間と、排卵日後の1日間、と考えられます。(しかし、卵子は排卵後6時間ほどで徐々に弱っていくため、本当に妊娠したい方は、排卵日の前日、前々日に受精のタイミングを取るとよいでしょう。)
排卵期・排卵日に現れる変化
妊娠しやすい時期であることはわかっても、それがいつなのか、外見からは判断がつきません。しかし、以下のような変化が見られることが多いので、覚えておきましょう。
基礎体温が下がる
毎朝起き上がる前に、布団の中で体温を測りましょう。専用の基礎体温計(婦人体温計)で測ります。3ヶ月ほど測り続けると、自分の低温期、高温期がわかってきます。大まかに言うと、生理が始まってから排卵期までが低温期、それ以降、生理の前日までが高温期です。通常、生理が始まると基礎体温は下がるります。ですが生理の予定日が過ぎても高温期が続いているという場合は、妊娠の可能性が考えられます。
低温期の中でも、最も基礎体温が下がる日があります。これを「最低体温日」といいますが、「最低体温日」から1~2日以内に排卵が起こります。生理周期が規則正しい人であれば、3ヶ月ほどの基礎体温データから、自分の排卵日の時期がだいたい把握でき、そこから予測もつくようになるでしょう。
排卵痛がある
排卵をする際に、卵巣の壁が少し傷ついて、出血することがあります。それで腹痛を感じることがあります。また、排卵後の卵巣の中に、「黄体」という、卵胞が変化してできたものが残っていることが原因で卵巣の腫れが生じ、腹痛が起こる場合があります。
排卵痛の程度には個人差があり、痛みが全くない人もいれば、酷い排卵痛に悩まされる人もいます。あまりに酷い痛みが何日も続く場合は受診をお勧めしますが、1~2日程度でおさまる場合は体を温めたりストレッチをしたりして、血行を良くして緩和するとよいでしょう。
おりものの変化
排卵日が近づき排卵期になると、粘り気が少なく水分の多いおりものになります。量も多く、薄い白色です。そして排卵日直前から直後には、透明で、粘り気のあるおりものになります。よく伸びて、指と指の間に取ると10cm程伸びます。排卵後は、量は少なくなり、どろっとした白っぽいおりものになります。
眠気・胸の張り
排卵日前後には「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌が活発になります。この黄体ホルモンが、眠気や胸の張りなどを引き起こす原因だと考えられています。この時期だけは昼間でも眠気に襲われたり、胸が張り、体がだるかったりする症状が現れることがあります。
唾液の変化
排卵期には、おりものだけでなく、唾液の変化にも気づくことがあります。排卵期の唾液は、粘り気のあるものになります。これは、ホルモンが増加することによって、唾液の結晶構造も変化するためです。この唾液の特性を生かした「排卵期測定器」という器具も販売されています。
いかがでしたか?妊娠を希望される方は、ぜひ基礎体温をつけて、自分の排卵期を知っておきたいですね。そして、体調の変化にも着目し、常に自分の体がどんな状態にあるのか、把握しておくと安心です。また、生理痛や排卵痛など、女性の体には不快な症状もつきものですが、日頃から冷えに気を付けるなどして、上手に付き合っていきましょう。