自覚症状がないといわれる高血圧ですが、血圧が高い人の中には頭痛に悩む人も多いです。今回は高血圧による頭痛のメカニズムやそれに関係する脳の病気、高血圧の予防法についてご説明いたします。
目次
高血圧で起こる頭痛の特徴
頭痛の原因は人によってさまざまであり、素人が判断するのは難しいですよね。高血圧によって引き起こされる頭痛の特徴は何なのでしょうか。
そもそも高血圧とは?
高血圧の診断基準は最高血圧が140Hg以上、または最低血圧が90Hg以上です。
これは病院や健康診断で測られた正確な血圧を指し、自宅で測る場合は最高血圧が135Hg以上もしくは最低血圧が85Hg以上で高血圧と考えられています。
めまいや立ちくらみなどの自覚症状がある低血圧と比較して、高血圧にはわかりやすい自覚症状がありません。その一方で、高血圧の人には頭痛が現れることも多いです。
高血圧で起こる頭痛の特徴
高血圧による頭痛の特徴は後頭部に症状が現れる場合が多いです。もちろん、その他の原因で頭痛が引き起こされることもありますが、後頭部が痛むときは血圧を測定してみると良いでしょう。
高血圧による頭痛のメカニズム
高血圧による頭痛はその他の原因によって引き起こされる頭痛とメカニズムが異なります。頭痛のメカニズムを確認してみましょう。
一般的な頭痛のメカニズム
一般的な頭痛は何らかの原因で血管が拡張され、脳の神経が刺激を受けて発症します。例えば偏頭痛の場合、ストレスによってホルモンバランスが乱れると血管が広がり、拍動とともに神経が刺激されてずきずきと頭が痛みます。
しかしながら、高血圧による頭痛はこれとは異なります。
高血圧が引き起こす頭痛のメカニズム
私たちの脳には血流コントロール機能が備わっており、血圧が高くなっても血管は広がることはありません。したがって、高血圧が直接的に頭痛につながるわけではないのです。
それにもかかわらず頭痛が引き起こされるのは、脳内に高血圧が原因の一つである動脈硬化などの異常があるためです。動脈硬化とは体内に酸素や栄養を運ぶ動脈が硬くなったり、物質が沈着して狭くなったりした状態を意味し、脳内に動脈硬化があれば血流が悪化して頭痛が起こります。
動脈硬化のほかにも高血圧は頭痛を引き起こす多くの病気の原因です。普段から血圧が高めで頭痛がある場合は、症状が重くなる前にできるだけ早く医師の診察を受けましょう。
高血圧の頭痛と関連する病気
高血圧によって引き起こされる脳の病気を4つご紹介いたします。
高血圧性脳症
高血圧性脳症は血圧が急に高まったり、高血圧が長期間続いたりすることで起こる症状です。
高血圧性脳症の症状
高血圧性脳症の主な症状は頭痛と吐き気。症状が重い場合は視力に制限がみられたり、意識障害やけいれんなどが起こることもあります。
高血圧性脳症と高血圧
通常、私たちの脳は自律神経などの調節機能によって血流が一定に保たれています。よって、一時的に血圧が高くてもその影響で血管が広がり、神経が刺激されて頭痛が起こることはないと考えられます。
ところが、急激に血圧が高くなったり、長期間高血圧が続いたりすると、血流を保つ脳の機能が限界を迎えます。この場合、代謝などに異常が出て脳内に水がたまるとむくみが起こり、頭蓋内圧も上昇します。
頭蓋内圧が上昇すると脳が圧迫されて神経が刺激を受け、頭が痛くなるのです。放置すれば腎臓や心臓にも影響があると考えられているため、気になる症状があれば医師に相談してください。
脳出血
脳出血は脳に栄養を送る血管が破れて血液が脳に流れる病気です。
脳出血の症状
脳出血の主な症状は頭痛、吐き気、言語障害、しびれ、麻痺、めまいなど。特に激しい頭痛とともにしびれや麻痺が現れた場合は注意が必要です。
脳出血と高血圧
高血圧は脳出血の原因の一つです。
高血圧によって脳卒中が引き起こされる理由は、血圧が高い状態が続くことで脳へつながる血管が傷つけられるためです。血圧が高い=脳出血の危険性も高いということがわかっています。
普段から高血圧の人は血圧のコントロールに注意しましょう。
くも膜下出血
くも膜下出血は頭蓋骨の内側にあるくも膜の血管が破れ、くも膜と脳の間のくも膜下に血液が流れ込む病気です。くも膜下は脳に血液を送るための血管があり、衝撃から脳や脊髄を守る脳脊髄液が循環しています。そのため、出血がおこると症状が重篤になることも多いです。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血の代表的な症状はバッドで殴られたような激しい頭痛。激しい嘔吐を伴ったり、意識を失ったりすることもあります。今までに感じたことがないような激しい頭痛を感じ、くも膜下出血を疑ったら救急車を呼んで速やかに受診することが大切です。
くも膜下出血と高血圧
くも膜下出血の主な原因は脳内の血管にできた動脈瘤の破裂です。動脈瘤とは動脈壁がこぶのように広がった状態を意味しますが、高血圧の場合は動脈瘤に圧力がかかりやすいため、くも膜下出血のリスクも高いと考えられています。
脳梗塞
脳梗塞は動脈硬化などが原因で血管が詰まったり、破れたりすることが原因で起こる病気です。動脈が詰まる、破れるといった状態は脳に栄養分が行き渡らず、脳の細胞を壊死させます。
症状がひどい場合は言語障害や運動障害といった、つらい後遺症に悩まされることもあるため注意が必要でしょう。
脳梗塞の症状
脳梗塞の主な症状は片方の手足や体の半分の麻痺、言語障害、視力制限など。前兆として言葉が出なくなる、ろれつが回らなくなる、目の調子が悪いなどの症状が起こることもあります。
脳梗塞と高血圧
血圧が高い状態が長期間続くと、血管を強くするために血管壁が厚くなります。血管壁が厚くなると血管は強くなりますが、柔軟性がなくなって動脈硬化が起こったり、進行したりします。
特に毛細血管に動脈硬化が起きると血液を満足に送ることができず、脳梗塞が引き起こされるのです。
高血圧の予防法
脳の恐ろしい病気につながる高血圧は日常生活に大きくかかわることがわかっています。
特に以下の5点には日ごろから注意してください。
・塩分が多い食事は控える
・禁煙
・アルコールは摂りすぎない
・体重をコントロールして肥満を予防する
・適度な運動をする
生活習慣が乱れている人はできる限り改善して高血圧を予防することが重要です。
高血圧を予防して命を守ろう
高血圧による頭痛は、脳卒中やくも膜下出血など恐ろしい脳の病気と大きく関係しています。命を守るためにも日常生活を見直して高血圧を予防してください。
なお、気になる症状がある人は悪化する前に早めに診察を受けてることも重要です。