自分の意志とは関係なく、片側の頬が痙攣したり引きつったりする症状が頻繁に見られるのが、片側顔面痙攣という病気です。
日常生活に支障をきたすこともあるこの片頬の痙攣、どのような治療が必要なのでしょうか。また起きる原因や予防法についてご紹介します。
頬の痙攣の正体は「片側顔面痙攣」
片目の周りがぴくぴくと痙攣する、そういった経験はないでしょうか。実はこの眼精疲労にも似た症状は、片側顔面痙攣という病気の初期症状であることがあります。
目の周りやまぶたの痙攣がたまに起こる症状は、健康な人でも一時的に起こることが多く、そのまま放置してしまいがちです。
しかし症状が進むと、家事をしている最中や運転中などに症状が起き、怪我や事故の原因となることもあります。
顔の左右の神経は、別々の顔面神経に支配されており、痙攣は片側のみに起こります。
目の周りにある眼輪筋、額や頬、口やあごに痙攣が起こります。
まばたきの回数が増えた、目が乾く、意思とは関係なくまぶたが半分閉じたままになったり、開きにくいといった症状がある場合には注意が必要です。
片側顔面痙攣になるとこんな症状が…
片側顔面痙攣の発症は40代以上に多くみられ、特に女性の発症が多くなっています。
初期症状は片目の周囲が痙攣する程度ですが、進行すると同じ側の頬、口、あご、額にも痙攣が起こるようになります。
さらにひどくなると顔が引きつってゆがむ、また片目がつぶったまま開けられなくなる、痙攣の振動が耳に伝わり、耳鳴りの症状を引き起こすこともあります。
痙攣が起こると手元が見づらくなり、日常生活にも支障が出るようになります。歩いているとすぐ物にぶつかる、また、寝ているときにも症状が起きるようになるので不眠になることもあります。症状が進行すると痙攣の頻度が増えるため、人前に出ることに抵抗を感じ、鬱状態に陥ることも。
片側顔面痙攣の原因は?
片側顔面痙攣の原因については、様々な説があります。主な原因としては、顔面神経に血管が圧迫されることによるものとされています。
血管の内側に悪玉コレステロールが付着すると、血管が硬くり弾力性を失います。そのため、血管が神経を圧迫すると考えられます。
悪玉コレステロールは、喫煙や睡眠不足、飲酒や食生活の乱れなどで増えます。この悪玉コレステロールの増加は、動脈硬化の原因にもなります。
また高血圧や高脂血症などで、動脈硬化が起きることでも片側顔面痙攣が引き起こされることが分かっています。そのほかにも、脳腫瘍や脳動脈瘤といった病気が原因によるもの、ストレスなど心因性の原因なども考えられています。
片側顔面痙攣の検査や治療について
検査について
片側顔面痙攣が疑われる場合は、脳神経外科・神経内科にて検査を受けなくてはなりません。
○問診と視診、触診
診察時に症状が現れない場合は、痙攣を誘発させる検査を行います。
目を思い切りつぶって開く検査、まばたきを繰り返す検査、また口元を横に引き延ばして痙攣を起こさせる検査です。
これらで起きた症状を確認し、次は内部の症状を確認する検査を行います。
○誘発筋電図
顔面神経の分岐を刺激する検査です。神経が支配している筋肉の筋電図の反応を診ます。
○MRI、MRAの画像検査
血管や神経を写す検査です。この検査により、血管の圧迫などの状態を診ることができます。
3つの治療法
検査で片側顔面痙攣と診断された場合は、3つの治療方法で治療していくことになります。
1.内服薬による治療
抗精神薬を使い、緊張をやわらげることで、痙攣をコントロールします。比較的軽度な症状の場合に使います。ただし副作用も多く見られるので、この治療法を行うことはあまりありません。
2.ボトックスによる治療
患部にボツリヌスという薬を注射することで痙攣を抑える治療です。
ただし痙攣が起こる原因の解消にはならないため、年に数回施術する必要があります。
副作用がなく通院ですむためよく使われる治療法ですが、完治はしません。
3.手術による治療
神経から血管を離し、圧迫を取り除く手術を行います。血管は影響の出ない部位に固定されるため、完治し、再発することはありません。
ただし入院が1週間から10日必要であること、顔面神経と隣接している聴神経が損傷し、難聴など合併症の可能性のリスクがあることなどがデメリットとして上げられます。
しかしほとんどミスは起きない手術でもあります。
なお、これらの治療を行う前に、片側顔面痙攣の症状を予防することも大切だと言えます。
片側顔面痙攣の予防法
片側顔面痙攣の症状は、病的な原因以外にはストレスが原因であることが多いと考えられています。
また、悪玉コレステロールを増やさないことも予防となりますので、日常生活から改善していくことが必要です。
片側顔面痙攣を予防する5つの方法
○外食を控え、野菜や魚を中心とした食生活に改善する
○ウォーキング、ヨガなどの有酸素運動を定期的に行う
○睡眠不足とならないよう規則正しい生活を送る
○ストレス解消を積極的にする
○喫煙やアルコールの摂取を控える
ストレスは自覚がなくとも蓄積することが少なくありません。
疲れを感じたらゆっくりお風呂に入る、音楽を聴く、アロマを焚くといった解消法でストレスをためないようにしたいですね。