お尻を拭いたペーパーに、血がついていたという経験はないでしょうか。少量で止まってしまう程度なら、病院に行かなくてもいいか…とそのままにしてしまいがちですが、デリケートな部分だけにきちんと治し、予防することが大切です。そこで今回は、切れ痔を自分で治すための方法についてご紹介します。
目次
切れ痔の原因と症状
切れ痔は肛門にできた傷のことをいい、医学用語では「裂肛」といいます。痔には様々な症状がありますが、切れ痔は繰り返しやすく女性にも多く見られます。
切れ痔になる原因
便秘で固くなった便
便が排出されずにたまってしまうと、便に含まれる水分が腸に吸収されてしまい、固くなります。これを出そうと力んだときに、肛門が切れ傷ついてしまいます。
下痢による肛門のただれ
下痢は水分量が多く、そのため肛門がただれやすくなります。また下痢で勢いよく排便することで皮膚が傷つけられることがあります。
内肛門括約筋の緊張による血行不良
肛門には内肛門括約筋と外肛門括約筋の2つがあり、内肛門括約筋の働きで肛門は閉じていますが、外肛門括約筋は便を出すときに緩みます。しかし切れ痔による痛みや出血を繰り返すと、内肛門括約筋が緊張して血行が悪くなるため、切れ痔を悪化させます。
出産時
女性の場合、出産時のいきみで腹圧がかかり、切れ痔になることがあります。
切れ痔には一時的な疾患である急性裂肛と、慢性化した慢性腫瘍性裂肛とがあります。切れ痔のときの症状が繰り返し起きるようなら注意が必要です。
切れ痔のときに起きる症状
・排便時の痛み
・排便時の出血
・排便後にも痛みが続く
・肛門にかゆみを感じることがある
出血は少なく、トイレットペーパーにつく程度ですが、痛みが強く続くことが特徴としてあげられます。
誰にも知られずに治す方法
デリケートな場所だけに、病院に行くのが恥ずかしい、人に知られたくない、といった気持ちが強く、なかなか病院に行けないでいるうちに悪化してしまうと、最悪の場合は手術が必要となることもあります。しかし一時的な症状であれば、適切な方法で切れ痔の悪化を食い止めることは十分に可能です。
1.トイレットペーパーで拭かない
トイレットペーパーは傷への刺激となりやすいため、赤ちゃんのお尻拭きなどを使うようにしましょう。
2.肛門を清潔に保つ
ウォッシュレットで洗い、トイレットペーパーでおさえるようにして水分を取るようにしましょう。ウォッシュレットがない場合は赤ちゃんのお尻拭きで代用してかまいません。そのあと消毒液で肛門を消毒するようにします。
3.体を冷やさない
切れ痔の原因となる便秘や下痢は、下半身の冷えが原因となって起こります。入浴時に体を温めることはもちろん、冷たい飲み物を飲むことも控えましょう。
4.椅子に座る時間をなるべく短くする
座りっぱなしは、肛門周辺の血行を悪化させ、切れ痔になっているときには肛門に負荷がかかります。なるべく座る時間を短くするか、ドーナツ型のクッションを敷くようにしましょう。
5.市販の塗り薬を使用する
専用の市販薬を塗り続けることで、傷の悪化を防止できます。かならず清潔にした状態で回数など指示に従って塗るようにします。
切れ痔になってしまったときに気をつけること
肛門を清潔に保ち、市販薬を塗ることで十分に治せる痔ですが、なってしまったときには早く治すためにも以下のNG行動は控えてください。
トイレでは強くいきまない
また切れてしまうかも…と考えがちですが、切れ痔になってしまっても排便はすることが必要です。しかし出すことに集中してしまうと、傷が広がることにもなりかねません。力をいれなくても出るときには出るので、無理をせずまた便意をもよおしたときに行くようにしましょう。
しっかり入浴する
患部をきれいに保つことが必要です。浴槽でしっかり浸かって肛門を温め、シャワーで清潔に保つようにしましょう。
刺激物や消化に悪いものは避ける
香辛料を多く使った料理は、症状を悪化させることになります。排便がしやすいよう、水分補給をしっかりする、またお酒も控えるようにしましょう。
切れ痔を予防する方法はある?
病院に行かなくても、傷が浅い場合はほとんどの場合が自然治癒します。しかし便秘や下痢が慢性的に起きている人の場合は、また同じ症状を繰り返すことになります。また痛みや出血の経験に「また切れ痔になるかも…」と考えてしまうと、排便を我慢してしまい悪化してしまいます。切れ痔を予防するには、便秘と下痢をまず改善することが必要です。
便秘を改善するために
水溶性食物繊維を摂る
便をやわらかくしてくれる水溶性食物繊維を摂るようにしましょう。水溶性食物繊維は水分を多く含み、粘り気のある食べ物に多く含まれます。
腸内環境を改善する
便秘の原因として、腸の働きが低下していることが考えられます。腸内の善玉菌を増やすために、発酵食品である納豆や味噌、ヨーグルトを食べると共に、善玉菌のえさとなる食物繊維もしっかり取ることが必要です。
運動の習慣をつける
排便には腹筋によって押し出す力が必要です。この力が弱まると、便秘になりやすくなります。腹筋だけを鍛えるのではなく、日頃から体を動かすことで体全体の筋肉が鍛えられます。毎日少しずつでも体を動かす習慣を身につけましょう。
下痢を改善するために
ストレスを減らす
下痢はウイルスや菌によるものと、ストレスによるものとがあります。ウイルスなどが原因の場合は、そのウイルスがいなくなれば症状が改善しますが、ストレスが原因で起きる下痢は、慢性化しやすいのが特徴です。ストレスをためこまないようにするほか、十分な睡眠を取るなどして、疲労をためないことも必要です。
消化のいい食べ物を食べる
消化に時間がかかる脂の多い食事や、糖分を多く含む食べ物は控えめにし、消化のよい食べ物を摂るようにしましょう。ご飯はやわらかめにし、煮物を中心にするなど工夫しましょう。また特定のものを食べて下痢を起こすときには、その食べ物を避けることも必要です。
ダイエットが便秘の要因になることもあるので、女性にも増えている切れ痔。早く治し、再発させないためには原因となる便秘や下痢を解消することが必要です。すっきりと排便ができるよう、腸内環境を正常に整えていくことが大切です。