葬儀に参列した時、まず省かれることがないのがお焼香です。自分は絶対に正しいやり方をしていると自信満々に出来る方はなかなかいないのではないでしょうか?
葬儀は頻繁にあることでもないので、毎回毎回人のお焼香の仕方を必死で真似して少しだけ気まずい思いをしているという人は多いと思います。
今回はお焼香のやり方についてご紹介します。もうお焼香の前に必死にならないで済むようにここで覚えてしまいましょう。
そもそも「お焼香」とは?
お焼香は亡くなった方に対して、自身の穢れをお清めし、お参りする行為です。
お墓参りなどでお線香を使ってお参りすることがありますが、葬儀の場でも「線香焼香」といって線香を使ってお焼香をする場合があります。
お焼香のやり方
お焼香は抹香を「親指・人差し指・中指」の3本の指でつまみ、額まで掲げ、指をこすり合わせて香炉に移すという作法です。
抹香をつまむのは右手が基本であり、左手には数珠をかけた状態で焼香を行います。※数珠は絶対ではないようです。
葬儀の時に抹香を使ったお焼香と線香焼香があるように様々な種類があり、それぞれやり方が異なります。
お焼香の種類は
立って行うお焼香
座って行うお焼香
自分で行かないお焼香
この3パターンです。
1.お焼香を立って行うものは「立礼焼香」と言い、焼香者が焼香台の前まで移動して焼香します。
お焼香をする前に遺族とお坊様に向けてそれぞれ一礼するため、焼香台の1歩手前辺りで立ち止まります。一礼した後は正面を向き直り、遺影に合掌した状態でまた一礼します。焼香台に1歩近付き、お焼香をしたあと、もう一度合掌し、遺族に一礼したら自席へ戻ります。
2.座った状態で行うお焼香を「座礼焼香」と言います。焼香台前まで移動する時は出来るだけ中腰状態で進むようにし、焼香台の前に正座します。
普通に立って移動しないことと正座した状態で行うこと以外は立礼焼香と同じ流れです。
3.会場が狭い場合に焼香路を参列者の前に順番に回していくものが「回し焼香」です。
座敷が会場になっている時は自分の正面に焼香炉を置き、お焼香をします。椅子に座っている場合は自身の膝上に焼香炉を置いた状態でお焼香を行う場合もあります。
お焼香が終わったら隣の人に回して終了です。
宗派によってもやり方が微妙に変わる
お焼香のやり方は仏教の宗派によって違いがあります。
具体的に何が変わるのかというと
・お焼香の回
・押しいただくかどうか
この2つです。
「押しいただく」というのは抹香をつまんで額の位置まで持っていくことを指します。
主な宗派別のお焼香のやり方もご紹介しておきます。ただ、中には決まりがないという宗派もあり、同じ宗派でも回数が異なることもあります。
天台宗
1回か3回お焼香を行いますが、押しいただくかどうかは決まっていません。
真言宗
3回お焼香を行います。天台宗と同じく押しいただくかそのままお焼香するか回数などは決まっていません。3回のうち1回は押しいただくようにするため、最初の1回に押しいただくのが自然です。葬儀の際、1回と指定が入ることがありますが、1回の場合は押しいただいてからお焼香を行います。
浄土宗
お焼香の回数も押しいただく回数も決まりがありません。
浄土真宗本願寺派
1回だけお焼香を行います。浄土真宗については押しいただかないのが決まりです。
浄土真宗大谷派
2回お焼香を行います。大谷派も本願寺派と同様、押しいただくことを必要としません。
臨済宗
一般的なのは押しいただかずに1回お焼香を行うパターンです。しかし2回お焼香を行ううちの1回目は押しいただき、2回目は押しいただかず、抹香を香炉へ移動するだけということもあります。
曹洞宗
2回お焼香を行い、1回目は押しいただいてお焼香、2回目はそのままお焼香します。
日蓮宗
日蓮宗は1回のお焼香か3回お焼香する場合が多いです。
このように宗派によって細かい違いがありますが、すべて覚えるのは正直大変です。それに加えて参列する葬儀の宗派がどれかなんてなかなか確認しづらいものです。
お焼香は自分自身が信仰している宗派があれば、そちらのやり方を優先してよいという決まりもあり、何より気持ちがこもっていればやり方は多少違っても問題ないというのが一般的な意見です。
最近の葬儀ではスムーズにお焼香を進めるため、お焼香は「気持ちを込めて1回で」とアナウンスが入る場合もありますので、その時々で合わせるようにしましょう。
+α 線香焼香のやり方
葬儀の場合、抹香を使ったお焼香が多い印象がありますが、宗派によって線香焼香を行う場合もあります。もしもの時に困らないために線香焼香のやり方についてもご紹介します。
線香焼香(座礼)
1.焼香台の前に座る前にお坊様と遺族の方に一礼、遺影に向けて一礼します。
2.ろうそくがついているはずなので、線香を右手で持ち、ろうそくに近づけて火をつけます。
3.火がついたら左手で仰いだり、線香を振って火を消します。
4.香炉にお線香を1本ずつ立てます。
5.1.と同様、お坊様、遺族の方に一礼し、最後に遺影に向かい一礼した後、元いた場所へと戻ります。
立礼焼香の場合も基本的には同じです。線香焼香の中には線香を立てるのではなく横向きに置く場合のお焼香の仕方もあるため、そこについては事前の説明や前の人に合わせて行いましょう。いずれのお焼香の場合も火をつけた線香を息を吹きかけて消すのは絶対にしてはいけないのでそこだけは確実に守りましょう。