日本には様々な年中行事があり、それぞれの行事ならではの食べ物や料理もあります。こどもの日も同様で、こどもの日の由来に沿った意味を持つ食べ物が食卓に上ります。どんな食べ物にどんな意味があるのか、理由を知れば、イベントにさらに花が咲きますね。
こどもの日とは?
5月5日のこどもの日は、もともと『端午の節句』と呼ばれる男の子の誕生と成長を祝う行事でした。江戸時代以降から行われていたこの行事、対になる女の子の健やかな成長を願う『桃の節句』は、お雛様を飾ったり、ひなあられやちらし寿司でお祝いしたりと、現在でも華やかな行事として定着していますね。
男の子の成長を祝う『端午の節句』は昭和の時代に入ってから、男の子と女の子の両方の幸せを願う日として国民の祝日『こどもの日』となりました。
『こどもの日』となって長い年月を経た今でも、鯉のぼりや5月人形を飾るような男の子をメインとしたお祝いをするご家庭が多いのは『端午の節句』の名残からなのです。
定番の食べ物の種類
こどもの日はもともと男の子の節句であったことから、男の子の健やかな成長を願った食べ物が行事食として定着しています。
もち
もともと縁起ものであるもちですが、こどもの日にも登場します。こどもの日に食べるもちには、ちまきや柏もちが有名です。
ちまきは童謡「せいくらべ」の歌詞にも登場します。関東では笹の葉でもち米を三角の形にくるんだ食べ物ですが、西日本では菜箸くらいの長い棒に甘い餅を円錐形に巻き付けて、さらに笹の葉でくるくると巻いた形をしています。地域によってはもち米で作った三角おにぎりのような形のちまき、灰汁に漬けて煮た茶色い『あくまき』など、それぞれの文化に沿って変化したちまきがあります。
柏もちも定番のもちの和菓子です。一般的にはあんこの入ったもちを、1枚の槲(かしわ)の葉でくるんだ形状をしています。これもまた地域により形が違い、西日本では槲の葉ではなくもちより少し大きめの、丸に近い形の葉っぱ、サルトリイバラの葉が2枚使用されます。2枚の葉でもちを挟んだ形をした柏もちです。
魚
男の子の節句の食卓に登場する魚では、ブリやスズキが有名です。またカツオも縁起がいいとして人気があります。これらの魚にも、男の子の健やかな成長を願う意味が込められています。
魚は料理によっては子供が食べにくい場合があります。子供に人気があるのは、竜田揚げ、アクアパッツァ、照り焼きなどです。
その食べ物を食べる理由は?
理由を知って食べれば、食卓の会話もますます弾みますね。食べながらぜひ、子供たちに教えてあげてください。
ちまき
ちまきの三角形の形がポイントです。西日本の円錐状のちまきも、横から見ると三角形になります。この形が毒を持った蛇の頭を表しており、これを『端午の節句』に食べることで子供に免疫が付き、免疫がついて強い体に成長できるという縁起担ぎです。
柏もち
槲(かしわ)の木に生える青々とした槲の葉は、秋になると茶色く変色しますが散ることはありません。槲の葉が散るのは春に新芽が芽吹いたときです。この様子から子孫繁栄を願って、男の子の節句に槲の葉を使った柏もちが食べられるようになりました。
スズキ・ブリ
スズキもブリも、成長するごとに名称が変化するため出世魚と呼ばれます。名称は地域により違いますが、例えば関東だと『ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ』、『セイゴ → ハネ → スズキ』のように変化し、最終的な成魚がそれぞれブリ、スズキなのです。男の子の節句は、男の子が将来家を繁栄させる願いも込められているため、出世魚は縁起物として喜ばれました。
カツオ
カツオも男の子が強くたくましく成長するよう願いがこもった食べ物です。カツオの読みに『勝男』と当て字をし、縁起を担ぎました。
子供たちと楽しもう
こどもの日を子供ともっと楽しむための工夫をご紹介します。
まずは部屋の飾りつけです。おススメはカラフルな折り紙を鯉のぼりの形にカットして作る、鯉のぼりのガーランドです。はがせるテープなどで壁に貼り付けるだけで、かわいらしい部屋に変身します!
新聞紙で兜を折って、子供も大人も一緒にかぶると一気に雰囲気も盛り上がりますね。
子供に、画用紙に水生ペンで鯉のぼりの絵を書いてもらい、テーブルに置いてランチョンマットにするとさらにこどもの日らしさが出ます。
ランチョンマットの上に、柏もちやちまき、スズキなどの魚料理をはじめとした食べ物を並べて、子供と一緒に楽しく過ごしましょう!
男の子の節句の食べ物には、元来、男の子の健やかな成長と繁栄を願う気持ちが込められていました。今は名前もこどもの日と変わりました。男の子も女の子も、すべての子供が健やかに育つよう願って、みんなで楽しくいただきたいですね。